小論文指導の内容 | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

私の専門である総合型選抜や学校推薦型選抜に向けて、

 

「どのような取り組みが必要ですか?」

「どれくらい時間がかかりますか?」

「小論文って書けますか?」

 

などのご質問をよくいただく。

 

私の場合は、項目だけあげれば以下のような取り組みを指導する。

特に小論文や志望理由書への取り組みであれば、どこで指導されても誰に指導されても、最終的にはおおよそ同じような道をたどるのではないか。

 

いまどきさすがに、

 

「とりあえず書いてこい、添削してやる」

「ついでに添削しますよ」

 

なんていうのは、塾でも学校でもなくなりつつある。

 

だからこそ、この内容の指導は「添削」では不可能であり、必然的に「対話」中心になる。

 

 

 1.小論文
 ➀文章の「構造」の理解

     (ブロック)
 ②「要約」の手順

  (大きい要約、小さい要約)
 ③「仮説」の「マインドセット」
        (考え方)

 ④論文構成
 ⑤PBLによる「証明」の蓄積

       (数字、事実)

 ⑥グラフの分析
 2.志望理由書(自己推薦書)
 ➀「大学の本質」と「学問領域」
 ②「問題発見」「問題解決」の「接続」
 (issue 地域、社会、世界)

 ③活動経験との「接続」
 3.活動記録(クレジットの構成)
 ➀活動への取り組み5原則
 ②探究への取り組み

 (調べ学習とは異なる)
 ③テーマとの「接続」
 4.面接
 ➀「志望理由書」の制作時の面接対策
 ②面接のコントロール
 5.その他

 ➀プレゼンテーション

 ②ディスカッション
 

こうした取り組みが一般的となりつつあるが、学科試験の指導に比べまだ歴史が浅く、なかなかこうした指導の取り組みは簡単ではない。

だが、まじめに指導法を探究していれば、同じようなところにたどり着くと思う。

 

すでに学校でも様々な「マインドセット」を学び、「PBL」の取り組みが中心となっているところもある。

つまり単方向の授業、全員が同じ内容を学び、それを暗記したかの定期試験を繰り返すのではなく、各自でテーマを発見し、長い時間をかけてその解決方法を模索し、その過程で知識を得ていく。

すごいなあと思う。

それこそPBLであり、小論文である。

 

また「グラフの分析」も重要だ。

これは出題者の意図をとらえ、時に補助線を活用し、「見たままの描写」ではなく、他者からは「見えない世界」にたどり着きたい。

これは「想像力」や「接続力」が求められる。

本当に難しいと思うけど、これは楽しい。

 

総合型選抜や学校推薦型選抜を真剣に目指している高校2年生は、もう小論文の取り組みをはじめているだろう。

いうまでもなく、3月の取り組み開始は遅いくらいだ。

私のところにも近隣はもちろん、遠方の都道府県からオンライン指導の希望が届く。

そんな指導した都道府県は5年間で30だ。

 



ただ幸いにも全国の各学校で、

 

「とりあえず国語の先生に見せてこい」

 

ではなく、専門の先生方のチームを立ち上げ、自発的に年間で何百もの小論文と向き合っている先生もいらっしゃる。

そうした業者丸投げではない、しっかりとした指導をするところが増えている。

ただ、そうなればますます総合型選抜や学校推薦型選抜の競争は厳しくなるが、良い取り組みをすれば、かならず良い結果に結びつく。

 

さらにはこうした思考力を育てる学びとは、従来の学科試験の対策に比べて、思考力を中心とした人生の糧を得る可能性が高く、それは将来、ブランディングやマーケティングをする際にも必要な力だし、なにより取り組みとして高校生にとって「楽しい」のが特徴だ。

 

この入試の導入の効果は大きい。

確かに従来の暗記中心の受験指導が役立たたなくなることを恐れるのか、驚くことに総合型選抜や学校推薦型選抜の情報を、生徒や保護者に意図的に伝えない高校もある。

そんな話をよく耳にする。

これでは、生徒にとっては選択肢が狭まり「多様性」が排除され、「個性」が重視されない。

とっても残念だと思う。

 

しかし総合型選抜や学校推薦型選抜の拡大によって、こうした入試に必要な能力、例えば問題発見能力や問題解決能力、ときにDEIやRRIを学んでいく。

まさに社会から求められている「考える力」「イニシアティブ」を身に着ける機会になる。

 

どの入試方法にもメリットはある。

入試方法に上下などもない。

大切なことは、生徒自身がどの入試方法なら、楽しくしかっり取り組めるかであろう。

自分らしく努力できる、良い選択をしてほしいと思う。

 

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