社会人2年目の7月、赴任先の自宅に彼女からファクスが届いた。そこには就職した彼女が大阪本社に配属になり武庫之荘に住んでいること、仕事が地味で大変なこと、こちらに来ることがあれば連絡が欲しいことが書かれていた。
ファクスには新しい電話番号も記されていた。私の返信と思われる手書きの一枚紙が残っていた。
〇〇さん(彼女の苗字)
ファクスありがとう。帰ってみたらびっくりしたよ。●●●●!?(彼女の神戸の立ち回り先) 君は◇◇担当なのかい?
いまTELしたら留守だった。当たり前か。体は大事にしろよ。
私は田舎でのん気に働いています。□□が終わったら、今度は△△担当。早く都会に戻りたい。
8月に休みが取れるので会いましょう。もっとも君の休み次第だけど・・・。
また連絡します。おやすみなさい。
■■■■(私の名前)
「体は大事にしろよ」か。おやすみなさいとあるので、夜に送信している。寝るような時間に電話しても留守なのが「当たり前」。そんな仕事に若い二人は身を投じていた。
「田舎でのん気に働いている」「早く都会に戻りたい」とも書いている。実際には「のん気」とは程遠い過重労働が二年目も続いていたのに、あえて「田舎」を強調している。彼女の気になる吐露に寄り添う代わりに先輩の余裕を見せたかったのだろうか。未熟だ。鳥取にいた私は、入社一年目から大阪本社で働く彼女に対して多少の羨望があったのかもしれない。
彼女からのファクスが7月19日。私はこの返事を送信したあと、おそらく電話で話して8月に会う日を決めたのだろう。
そして1998年8月23日を迎えた。私は25歳、彼女は誕生日が来ていれば23歳だった。
(続く)
