本『橋はかかる』 | 魔女になる夢

魔女になる夢

ちいさい頃の夢は「魔女になる」だった、

1970年代最後の夏に生まれた女の日記。

 

 猿回しの“太郎次郎”の村崎太郎さんの生い立ちと、栗原美和子さんとの出逢いから結婚やその後の物語。ラストの辺りは涙がこぼれそうだった。
 
 部落問題について、実感としては私にはわからないという事実は変わらないと思う。それほどに大きな深い日本の問題なのだとよくわかる。結婚差別による双方の家族との擦れ違いだけでなく、同じ苦しみを味わっている部落の家族親族同士での確執の大きさも知らされた。
 
 でも、今回私が一番考えたことは“人と向き合うこと”。文中では栗原さんが「家族と向き合うのは人として当たり前のこと」と村崎さんに言っていて、2人はそれぞれの家族とすれ違うたびにきちんと向き合っていた。私は、家族とも誰ともちゃんと向き合っていないような気がする。私は自分の想いを人にぶつけることが子どもの頃からずっと苦手で、大人になった今も出来ていないなと改めて思った。家族にも友人にも誰にも、いつも言えていないことがたくさんある。
 
 この1年を振り返ってみると、クラスミーティングは大きかったかもしれない。10年来の友人にさえ言えていないことを子どもたちには話せた。去年までは無理だったから、なにがきっかけでそんな気持ちになったのかはわからないけど…。とにかく子どもたちは本当に目に見えない力を持っているなぁと感じる。感謝する。

 

 そして、夏にあった大人教での発表も大きかった。うちの学年の部落問題学習の1年生からの取り組みを、先輩先生と2人で発表した。最初は単なる代表としての報告だと思っていたけれど、それは違った。あんなにも自分自身と向き合って、自分自身を人前にさらけ出すものだとは思っていなかった。いろんな人との出逢いに感謝。

 

 この仕事始めて、この職場に来て、いろんな初めてのことがあったけど、こんな機会が与えてもらえて、子どもたちだけでなく私まで成長させてもらえて、本当に有り難いと思う。
 
 私にとって部落問題学習は、いつも自分自身を見つめる時間になっている。もっと言えば、まだ部落問題そのものを理解したり考える余裕すらないのだとも思うが…。主任の先生はいつも言う、「部落問題学習は自分の生き方を問うものだ」と。この本も紹介してくださった。年末にこの本を読めてこの1年を振り返ることもできた。いつも私の成長を助けてくださるとても有り難い存在だなぁと思う。これからも勉強だ。
 
 

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