甘いお菓子は食べません 田中兆子 | 蛙鳴蝉噪

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幸福と不幸、本能と道徳、偶然と必然、真実と嘘を書き残すことは、案外面白いかもしれない。

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)/新潮社
Amazon.co.jp¥594


              ―― 耐えがたき煩悩 ――


はじめましての田中さん。
タイトルとジャケットの美しさにひとめ惚れして購入しました。


  *結婚について私たちが語ること、語らないこと
  *花車
  *母にならなくてもいい
  *残欠
  *熊沢亜理紗、公園でへらべったくなってみました
  *べしみ



40代から小説を書き始め、これがデビュー文庫だなんて信じられない繊細な表現、巧みな構成が素晴らしい、田中兆子さんの6篇からなる短篇小説集。


キャディーの仕事をし、妥協じゃなく納得して結婚したいと思っていた41歳のある日、知りあって3時間でプロポーズされ、さすがに迷う私。

2年ぶりに夫のベットに潜り込むと、「もうセックスしたくないんだ」と拒まれ、これから先も心変わりすることはないと告げられ動揺する私。

夫と離婚し、仕事に専念。営業部長までのぼりつめ、セックススタイリストに紹介された男性がいる。
子どもを育てたことはないけれど部下を育て、子どもを養っていないけれど猫を養い、子どもを甘やかせたことはないけれど、男の人を少しは甘えさせている私。

子どもが小学校1年生のとき、アルコール依存症と診断され入院。その後、断酒と再飲酒を繰り返し、何度も自分に絶望しながら何とか生きている私。

49歳独身、ひとり暮らし、結婚歴なし、両親は既に他界、きょうだい無し、彼氏無し、ペット無し、持ち家無し、女性用ウィッグを製造販売する会社に勤めていたがリストラされ無職。ある意味最強の私。

40歳独身、最後にセックスしてから10年以上経っているのに、性器に異常を感じる。股間に手鏡をかざすとそこに、奇妙なおっさんの顔がくっついていた私。


どの作品もオモシロかったです。
いくつかの作品に同じ人物が登場し、緩めに連作しています。

重度のアルコール依存症の私が、酒を飲まないために壮絶な努力をするシーンで泣いてしまいました。
安藤正子さんの表紙が、飾りたくなるくらい素敵。


第10回R‐18文学賞大賞受賞作。
第2回フラウ文芸大賞新人賞受賞。


ご興味を持たれたかたは是非!!



さあ、今日は月曜日!
先週の月曜日にあげた「2018年、今年のGWは☆」を少し書き直しました。
完全に自己満足ですケド。


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