「うおぉ、デカい!」
「ヒャー!おっきいね!」

シーナくんを好きになって、二人で励まし合ってきたサイトーとウチ。
ウチらの想いは、花火みたいにパーンと弾けて、実らずに終わりそうだけど、気持ちを共有できて、よかったなぁ。
拓斗のことも有ったし、いっぱい助けてもらった。サイトーがいなかったら、相当ヤバかった、この夏のウチ。いつになくテンションアゲアゲのサイトーを、見上げた。
目が合って、笑いあって、ちょっとドキッとした。
これってきっと、花火のドキドキで吊り橋効果ってやつだよね。頬が熱い。暗くてよかった。
「いいな、花火」
「いいっしょー、花火!」
終わりが近くなり、この夏の仕上げとばかりに、次々と大輪の花が上がった。
何だか、終わってしまうのが、淋しい。ウチらの、夏。

「やっぱり来てよかった。サイトー、ありがとね」
「オレも、久々にちゃんと見たよ、花火」