☆SASAMI☆
客席でぽやーんと余韻にひたってたら、
「マユ、早く！」
カオリンの声でハッと我に返った。浸ってる場合じゃない、ウチはこれから初めて人前でやらかす、ちが、演奏するんだ。
ウチらの為に、シーナくんたちの撤収は素早く、もう他のメンバーはステージで準備に取りかかっていた。
親衛隊にお礼を言って、ウチも急いでドラムに向かい、座ってみて驚いた。
こういう風にセットすればいいのか！
サワちんが調節してくれたセッティングは、スネアの位置からシンバルやタムタムの角度まで、楽に手の届くような絶妙なバランスで、凄く叩きやすく、最高だった。
彼女の方がウチより小柄だから、ウチの身長に合わせて少し直してくれた？うー、ありがとう！
「あれっ？アヤ、ギターは？」
あんなに練習してたのに。
「なんかシーナ見てたら怖くなっちゃって。弾きながら、手元も見ないであんなにガンガン歌えない。すごかった」
確かに。弾き語りって、想像もつかないけど、難しいんだろうな。
「せめて歌は間違えないように、今日はギターやめとく」
「うん、わかった。オッケー」
「ギターは任して」
カオリンが親指を立てて微笑む。
「そろそろいいかな？」
いつも通り柔和な笑みの由依を見たらウチも落ちついてきた。
客席をみてちょっとガッカリ、シーナくんとサクマ目当てで来た女子の集団が殆ど帰ってしまった。みんな部活抜けて来たのかな？