「ありがとう!なんかすげーびっくりした。感激してヤバイです」
「予習してきたー♪」
思わず言ったら、周りにはウケたけど、ステージ脇でアヤが睨んでた。
(なにやってんの、アンタ)
って形に、唇が動いた。
二曲めはワンオク。
結構激しい曲だよね、「じぶんROCK」か。あれ?シーナくんにスタンド・マイク。佐久間がボーカルって噂だったけど。
そっか。チープ・トリックで女子票稼いだから、二曲めは自然に歌って、シーナくんが反感買わないように、強面の先輩対策?さすが団長、策士だな。
と、考えてるうちに
イントロ始まった!
弾けるベース音。
変拍子っぽい引っ掛かるフレーズの後、ギターとベースのユニゾンぽい絡みでグイグイ進む。
♪今日も君は信じること
忘れずに目覚められていますか?
時が経つと自分さえも信じれなくなる時代のようです
自分では気付かないのがこの症状の特徴で
唯一ある予防法…は
「自分にウソだきゃつかない事」
えっ!チープ・トリックと全然声が違う。普段からハスキーだけど、もっとザラザラして尖ってる。
♪声にならない叫びは僕が声を枯らして
叫んで歌って伝わるまでわめいて
届くまで止めない!!
激しく頭を振り、絞り出すような声で叫ぶように歌う彼は、いつものかわいいシーナくんではなかった。
親衛隊の女子仲間がビックリして静かになったのと対照的に、ワンオク好きの男子たちが俄然盛り上がってきて、跳ね始めた。