なんでそんなことを?
ウチのライバルだから困らせようと?いやいや、ライバルじゃないよ、とっくに負けてるもん。
ドアが開き、シーナくんが勢い良く出てきて、そのまま医務室の方へ足早に歩いて行った。手を怪我したサワちんと佐久間の方へ向かったみたい。
続いて、困った顔のアヤが出てきた。
「何話してたの?」
「ゴメン」
「?」
「色々カンチガイしてた、やらかした」
アヤのこんな困った顔は初めて。
「いい話があるけど、それより何よりマユ、ごめん!」
「いい話?」
「二人、まだ付き合ってないって」
「ウソー!」
単純!目の前に光が差した☆☆
「あと、ホントにゴメン!椎名があんまり恐い顔するから、今日の無茶ぶり、マユのためって言ってしまった」
「えぇー、ウソー!」
どう聞いても、ウチがワルいヤツじゃん、ソレ。
「ごめ、やっぱ私、謝ってくる。マユは全然知らなくて、主に私が勝手にやったってこと」
「まてまて、いいよ!」
走り出そうとした姉御を捕まえた。
「あの子、シャイだから、みんなの前で恥かいたら来づらくなるかな、なんて」
「わかった。もう、いいよ、それにサワちん、結構強いよ」
「ん、すごかったね。無茶苦茶な設定なのに、前から知ってるみたいだった」
「ありがとう。ウチなんかのために、色々考えてくれて」
「バカ!怒るとこだよ、お人好し!」
アヤの目に涙。
なんて言うんだっけこういうの。鬼の目にも…
「もう!」
嬉しくて、ハグした。
柔らかい。女の子って、いい香り。
シーナくんには嫌われちゃったかもだけど、ウチには仲間がいるんだ。じわじわと嬉しさが、込み上げた。
それに、まだフリー!
カップルじゃなかった。
でも、あの穏和なシーナくんが、アヤがビビるくらい怒るなんて、やっぱりサワちんが好き?
自分の為に怒ってくれるなんていいなぁ…素敵。キュンキュンする。カッコいい~💕
アッ、ウチのバカ、ウチがその怒りの原因作ったのにー。