☆練乳いちご☆
ニャームが戻るまでの間、淋しさからウチはドラムの練習に集中することにした。早く上手くなって、余裕をもってケアしてあげたい。
うーん、やっぱり出来ない。
何回練習しても、「結果発表~!」の時のあのザーっていうドラムロールってやつが。教則本や動画をみても感覚が掴めない。きれいに繋がらない。
スティック・コントロールが下手だから、速いテンポの曲だとすぐ疲れちゃうんだな。ウチが叩けないせいでみんながやりたい曲が出来なかったら申し訳ない。
早くきた部室でひとり、固まってたら、臼井佐和ちゃんが入ってきた。
んー、殆どしゃべったことないけど、お互い顔は知っているので、声をかけてみた。
「おつかれさまー」
「こんちは」
例の、年季の入ったスティックケースを肩から下ろして、佐和ちゃんが微笑んだ。あっ、なんかホッとする笑顔。せっかくだから、上手い人に聞いてみようかな。
「臼井さん、ドラムのことでちょっと聞いてもいい?」
「いいよー、私でわかれば」
「ロールが上手く出来なくて」
持ち込んだパッドの上で、ウチのやり方を、まず見てもらった。
トテトテトテトテトテトテ…
ニコニコ笑ってる。
きっと、変なんだよね。
フンー、も少し早くかな?
トテトテトテトテテテ…
「プッ」
「あっ!吹いた(笑)!ウチのそんなにへんてこ?」
クスクスクスクス笑いながら、
「ごめん、なんか、かわいくて」
自分のスティックを取り出して、やってみせてくれた。なめらかで美しい、そうそうコレコレ!