V:view ビュー 視界、眺め
電車の網棚。
157cmの私は、めったに使わない。
通勤時など、
人に埋もれて、
降りるタイミングなのに網棚から遠く離れてしまうことがあるから。
載せたことを忘れて、降りた失敗も一度。
自分の視界よりも、気持ち上にあるからだろうか。
電車のドアを、くぐって入るくらいの背の方は、きっと忘れないだろう。
網棚よりも、視界が上。
きっと、見える世界が全然違う。
子どもの頃、下のきょうだいに代わって怒られるとき、仕方ないな、自分の方が大きいんだから。
と、泣いてるつむじを見下ろして、感じたのを思い出す。
実際に身長は追い越されても、その頃の感覚って、何か残るんじゃないだろうか。
小さなものを、守っていた感覚。
きっと、電車をくぐって乗るくらいの視界だったら、
見える世界は全然違うだろう。
単に上から、というのではなく、見渡せる分、
何か小さい人達には見えないものが、きっと見えるのではないか。