著者: 乙一
タイトル: 暗黒童話

乙一さんの本は、結構読んでいますが、前評判ほど
自分的にグっとこない。

でもこれは、とてもよかったです。
ぐんぐん読めた。

話の構成がすごく凝っている。
最初にでてくる、カラスと少女の話が何より怖いしせつないし
気持ち悪くて、良くて、私の心にやきついた。

目を移植した少女がみる、前の目の持ち主の映像。

事故後記憶を失い、性格が変わってしまったと、家族としっくり
いかなった主人公
以前の優等生で人気者であった自分とのギャップに悩み
みんなの期待に、そうできない自分がじれったくもあり、過去がない自分は
何者でもないようなそんな気持ちになる。

垣間見る前の目の持ち主の生活、家族に親近感を覚え、やすらぐ。
記憶を失っている間だけ見ることができる、映像。

彼の亡くなった理由を、彼の思い残した気持ちを探し出すべく
冒険にのりだす。

とても素敵な話で、何度もせつなくなった。
グロテスクな部分ばかりが目立ってしまうかもしれないが
元来そういう話が好きだし(笑)
犯人の設定にもとても驚いた、また誘拐殺人(?)の動機もこれまた
ひとくせもふたくせもあるんです。

とても楽しめる要素満載の、ミステリー?ホラー?小説になっている。

お勧めです!!