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信愛なるきみへ



最近、時々

きみと出会わなかったことを想像したら怖くなる

泣き出しそうになる

谷川俊太郎の言った、

宇宙の「二十億光年の孤独」を感じて

寂しくて悲しくて堪らなくなるよ


きみと出会うまでの最近のぼくは

ひたすら仏典を、 

原始仏教が伝える釈尊の直の言葉を読むようになっていた

そして釈尊の悟達=十二縁起を感得した

それは宗教というより、

宇宙を貫く物理法則だった

釈尊曰く「一切皆苦からの解放」を感得したよ


孤独も、苦しみも、死ぬことも、

何らぼくの心を動かさなくなった

ならば、生きていても良かったのだけれど、、、

一人の死によって、一人の生が助かるなら、その方がいいと思った

そうやって、ぼくのカルマを断ち切ろうと思ったよ


食べることも、寝ることも、

全く心を動かさなくなった

残された子供たちにカルマを引き継がぬよう

ぼくは即身仏になることにした

やがて衰弱し、ぼくは息をしなくなるだろう

ぼくは全てのカルマから解放されて

無限宇宙に吸収されるのだろう

ぼくの理性のコントロールは完璧だと思ったよ


そんな時、きみに出会った

きみに出会って、少しずつ心が動き始めた

あれれ、ぼくの完璧にコントロールされた理性が揺らぎ始めた

きみの言葉は、声は、行いは

ぼくの独善的な理性の不完全さを優しく諭していき、そして同時に

ぼくの硬直した心を優しく解きほぐして、柔らかくした

ぼくの心は生まれた時のまんまの無防備な心になった

ああ、これがぼくの心だったんだと

ぼくが持って生まれた心だったんだと気づいたよ


そう言えば

幼いころのぼくは

夜が怖かった

宇宙の無限が怖かった 

ひとりぼっちが怖かった

死ぬことが、大切なひとが死ぬことも怖かった

そして死んだ後の世界が怖かったよ


ぼくは、幼いころのぼくの心を思い出した

今、きみはそんな無防備なぼくの心を温かく包んでくれてる

強く支えてくれてる

そしてぼくが、ぼくらが向かうべき道へ導いてくれてる

これは奇跡だよ


ぼくは高校のころ一人旅で

その意味もわからずに買ったものをウチに持って帰る

買ったことさえ忘れていたものを

古新聞紙に大事に包んでウチに持って帰るよ

プチプチぐらいに包みたいけど

申し訳ないけど

今は古新聞紙しかないよ


その大切なものを心のウチに持って

ぼくらは一緒に行こう

ぼくらはいつまでもいつまでも

永遠に一緒に行こう

ぼくらはどこまでもどこまでも

永遠に一緒に行こう


きみに出会って本当に良かった

ぼくのこれまでの人生は

きみと出会い、

きみと一緒に行くための人生だったと確信したよ




のん