CASSHERN ☆☆☆☆
監督:紀里谷和明
出演:伊勢谷友介、麻生久美子、寺尾聰、樋口可南子、唐沢寿明 他 
タイトル: CASSHERN


ストーリー

我々が歩んできた歴史とは全く異なる歴史を歩んできた世界。

世界は大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合という、

ふたつの陣営に分かれていた。

50年も続く大戦の果てに、大亜細亜連邦共和国は勝利し、

東アジアのユーラシア大陸一帯を支配するに至った。

しかし、その勝利で得たモノは、人の心の荒廃に、化学兵器、細菌兵器、

核がもたらした薬害やウィルス、放射能などの後遺症と荒れた大地だけだった。

人類の未来は、終焉を迎えようとしていた。


重い病に苦しむ妻を持つ、遺伝子工学の世界的権威・東博士は、

人間のあらゆる部位を自在に造り出す「新造細胞理論」を提唱。

東博士は、妻ミドリを救うため、この研究の実用化を急ぎ学会で援助を仰ぐ。

既得権を奪われまいと、博士の理論を却下する保健省。

しかし、その理論を私欲のために使用しようとする軍関係者の援助により、

研究は始まった。

そして、故意か必然か、実験場から生まれた新生命体「新造人間」


人類は、神の領域へと踏み込んだのだ。


しかし、人類を救済するはずだった「新造細胞」は、

人類を滅びの道へと歩ませようとしていた…。(goo映画より)


レビュー(ネタバレ)

監督・脚本などを手がけたのは、宇多田ヒカルのミュージックビデオ

「FINAL DISTANCE」、「traveling」、「SAKURAドロップス」

の演出を手がけたクリエイター・紀里谷和明

ご存知の通り彼は、宇多田ヒカルの旦那さんです。


とりあえず、観終わっての感想を一言。

『…疲れたぁ。』


最近観た作品の中で、最も長く感じました。

上映時間は、141分。

数字的にも長く感じますが、実際には、3時間くらい観た気分です。

別に、長くてもいいんですけどね、わかり難いんですよ。

僕は「予備知識全くなし」の状態で観たんですが、

これは、単なるアニメの実写版ではないですね。

現に、アニメ版を知っている方の感想を読んでみたら、

アニメとは全くの別物のようです。(僕はアニメ版を知りません)

今回のレビューは、僕の中で整理する意味合いを込めているので、

おもいっきりネタバレです!


新造人間の誕生により、新造細胞の実用化を望んでいた人間は、

脅威を感じ新造人間を抹殺していきます。

それに対して、新造人間ブライ(唐沢)は言うんですね。


『我々は生きている!我々は紛れもなくここに生きている!

しかし、人間はそれを認めようとはしなかった。

そればかりか、目にもあまる残虐な手段を尽くして、

われら同胞の命を排除した。

あたかも、裁きを下す者のごとく、

あたかも、彼らがその権利を有するかのごとくだ。』

『命に優劣があろうか。

生きるという切なる思いに、優劣などあろうか。

ただ1つの生を謳歌する命の重みに、優劣などあろうか。

あるはずがない!』


そして、こう考えるようになる。


『人類は、目に見えぬ天秤の上に我々を乗せた。

それが、仮に彼らの権利であるというなら、その逆もしかり。

我々が、その権利を有することも可能なのだ。』


『人間を…皆殺しにする!』


つまり、悪者にあたるはずの新造人間は、ただ生きたいだけ。

人間の方が、新造人間を殺しているんですね。

だから、「人間を守るヒーロー〝キャシャーン〟」vs「新造人間」

という構図が成り立たないんです。

結局、「人間(特に軍部)」vs「新造人間」の争いを収めようとする「キャシャーン」

という構図になるんですね。これが、ややこしい。


しかも、「新造人間だと思われていた者達は、実は新造人間ではない」

という奇妙な展開になってきます。

新造細胞を作るために、実験材料として殺されたある土地の人間が、

オリジナルヒューマンとして復活しただけ、という訳のわからん状態に…。

(オリジナルヒューマンって結局なに?)

まぁ、こうする事で「人間」vs「人間(オリジナルヒューマン)」になり、

現実世界で人間同士が行っている〝戦争〟を表したかったのだと思います。


テーマとなっているのは、確実に〝反戦〟ですね。


『憎しみ合うことからは、何も生まれない』


『憎しみを開放するためには、お互い許しあうしかない』


という主張が、延々と繰り返されるんですね。

確かに、言わんとしていることは正論でしょう。

しかし、クドイ。

セリフとして延々と述べんでもいいと思うのは、僕だけでしょうか?

やり過ぎ、くど過ぎで、逆にその主張が薄っぺらいものに見えてしまいました。


さらに、僕としては、最後というか結末が納得イカンのですよ。

結局争いを収めることの出来なかった「キャシャーン」。

憎しみを収めるためには、〝希望〟を持った上で死ぬしかないと。

キャシャーンと恋人ルナは、死んで違う星に行っちゃいました。


『なんじゃそりゃ~!』


何の解決にもなりゃしません。

観終わって、僕に残ったのは物凄い疲労感…。

1本目に「CASSHERN」を選んでしまったことを、後悔しています。


あ、そうそう。最後にもう1つだけ。

キャシャーンである必要はどこに?

次回作は、エヴァですか?


今回の評価は…星1つ。

本当は星0ってのも考えましたけど、

星0のためにレビューにこれだけ費やしたと思いたくないので…。

本当に疲れました。 ハラホロ~( ̄∇ ̄)~ヒレハレ