ブタ
女の子の友人とランチに出掛けた。
わざわざ女の子の友人と言うのは、彼女は友人の中でもピカイチの女性らしさであるからである。他の女友達は、戸籍上女というだけで中身は男である。
そんな女の子の友人であるので待ち合わせ場所に遅れてはならぬと思い、早目に家を出て用事を済ませるとえらい時間が余ってしまった。
「いんやちきしょ、コーヒーでも飲むか」と、近くにあったマクドナルドに入り注文すると、口が勝手に「ベーコンレタスバーガーセット」と言ってしまった。これからリストランテ・テルツィーナでランチだというのに、前菜でマックである。
「バカか私は・・」と思っていると、「ポテトは出来上がり次第お席までお持ちいたします」と言われたので、席について先に貰ったハンバーガーを1分ほどで食べ終え、大人しく待っていた。
ポテトを持って来た店員さんは、もうハンバーガーが紙だけになっている事に完全に動揺していた。少々早く食べ過ぎた様である。
ポテトも食べ終え、きっかりの時間に店に行き、何食わぬ顔でコースを注文した。マックを食べた事はまだ友人には内緒である。私の場合、腹が苦しくて残すなんて失態は間違っても無いので、わざわざカミングアウトしなくても良い。
しかし終盤に差し掛かり、少々腹が膨れてきたので、「もう言っちゃおう」と思い、「実は来る前にマックを食べた」と言うと、友人は当然ながら呆れていた。
「今日パンおかわりしないからおかしいと思ったんだよね」と、多少察していた様である。
そんな事は言っても残さず平らげたので何の問題もない。
「実は来る前にマック食べて来たんですよねーアハハハ!」と、上着を着せてくれた素敵な店員さんに言ってみると、店員さんは困っていた。こういう自虐も大概にしたほうが良い。
女の子の友人とのランチなので、その後はもちろんショッピングである。
ブタのピアスを見つけたので自分にぴったりと思い購入してきた。
店の中を所狭しと、ブタがブタを付けて歩いている。
