がん免疫についてのお話です。
最新治療薬のがん免疫チェックポイント阻害薬の事を理解するには、がん免疫の仕組みを知るとより理解が深まります。

人の体にはリンパ球があり外敵であるウイルスなどと戦います。がんも元は自分の細胞ですが、変異を起こしていて、通常はやっつけられてしまいます。

その仕組みは、リンパ球の中にキラーT細胞と、ヘルパーT細胞、樹状細胞があり、この樹状細胞ががん細胞の断片を取り込みます。
これを貪食といいます。

それを持ち帰りキラーT細胞には教えます。
抗原提示するといいます。

キラーT細胞は抗原に一致するがん細胞を見つけ出し攻撃するのです。

ところが、がん細胞は元は自分の細胞です。
キラーT細胞の活動抑制する分子を出して結合し活動にブレーキを掛けてしまいます。 

こうしてがんは敵とみなされないようにして増殖していきます。

この分子に着眼したのが、今最新の免疫チェックポイント阻害薬なのです。

多くのがん種で効果が確認されていますが、日本では悪性黒色腫と肺がん(非小細胞肺癌)でニモルマブとイビリムマブが承認されています。

その他のがんでは第2臨床試験中か第3臨床試験中なものもあります。

どのがん種でも概ね20%から30%の人に効果が認められているそうです。

ただ誰に効いて効かないのかは使わないと分からないので難しいところです。

この薬にも副作用はあります。
免疫関連有害事象があります。
例えばニボルマブ(オプチーボ)
下痢、白血球、リンパ球減少、疲労、白斑、かゆみ、間質性肺炎、筋無力症、大腸炎、肝機能障害など、他にもありますが、割愛します。

それに非常に高価な薬価で健康保険の破綻も危惧されています。
ニボルマブ1回投与当たり費用が118万449円で、高額医療費制度を利用して最高年間100万が自己負担(収入により額が変わる)
公費負担が1人に年間3000万にもなります。
対象となるがん種の肺がん患者さんが年間2.7万人もいる事を考えると、保険システムを構築する必要があります。


また3日目の講義の案内の時にも紹介しますが、これらの抗がん剤は腫瘍内科医ががん拠点病院などで実施します。

巷にあるクリニックなどの広告でがん免疫療法でと謳っているのは注意する必要があり、免疫療法で今の所エビデンスが高いのはこの免疫チェックポイント療法しかありません。

その他の免疫療法はエビデンスが無いか、低いので、高額な自費で案内されている様なところは注意すべきです。


こうして医師や医療者の集まる本当の学会に参加して、最新の医療の状況が分かり、理解を深められたのはとても有意義だと思いました。
最近の学会は患者参加型も増えているそうです。

わたしが受けたのは患者向けの講義でしたが、余裕があれば、他の先生方のクラスも聴講出来ました。

とにかく初参加でしたので、ずっと患者向けクラスで聴講しました。

初日最後に私が聞いたのは、放射線治療の最近の状況についてでした。

最終講座はがんに対する緩和ケアは遅くなるので聴講せずに帰りました。

続きは放射線治療について紹介します。




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