皆さん、こんにちは。
いつも本当にありがとう。
以下、慶大経済日本史の出題分析です。
有効な羅針盤になれば幸いです。
2016.7初出→2017.3加筆→2018.7加筆→2020.4加筆。
202004 最新情報に更新しました。
追加情報がある項目には、★印を付してあります。
慶大経済学部・日本史 出題分析
■分量・パターンからみた特徴★
慶應義塾大学・経済学部の日本史は、次のようなスタイルを基本にしています。
80分で大問2~3題構成
語句選択・空欄補充・記述問題→25問程度
文章選択・年代整序問題→15問程度
行数指定型の論述問題8問程度(総行数18~21行程度)
論述問題の1行分は約17cm(横)×約0.8cm(縦)の枠で、小さな文字を用いればかなりの分量を記すことも可能ですが、答案作成の際には、採点者に気持ちよく読んでもらう配慮も大切なこと。
1行=35~40字分程度と考えてください。
出題の分量・パターンからみた最大の特徴は、次のようにまとめられます。
□特徴1□ 大量かつ多様な問題群を比較的短い時間で処理していく必要がある
この点は慶大経済学部の日本史にみられるもっとも顕著な傾向で、入試本番の問題冊子を他の難関私大の冊子と単純に比較しても、まずかなり厚い部類に属します。
しかも毎年の問題には、時間のかかる文章選択・年代整序問題や論述問題に加えて、グラフ・図表・年表・史料・地図・写真などを利用した設問が複数含まれています。
このことは、慶大経済学部が物事を正確かつスピーディーにこなす能力を重視して受験生の選抜にあたっていることをよく示すものだといえるでしょう。
■内容面からみた特徴★
経済学部らしく、近世と近現代(より正確にいうと「1600年以降」)に出題対象が限定されています。
近世と近現代の出題割合は3:7程度で、社会経済史や外交史・戦後史については本格的な問題が登場してくると考えておくべきでしょう。
なお、2017年度のように、出題のほとんどが近現代で占められましたこともありますが、受験生としては、あくまでも「1600年以降」全体に備えておくべきだと考えられます。
そのうえで、内容面からみた最大の特徴を指摘しておきます。
□特徴2□ 学問・思想・教育・芸術など文化史からの出題例が予想以上に多い
たとえば過去7カ年分(2014~2020年度)の問題を分析すると、総設問数307問(論述問題も1問に換算)のうち、43問が文化史分野からの出題でした(出題率約14%)。
➊2015年度のⅠ‐問7(明治期における政府の美術教育の変遷、4行=140字程度)、➋2018年度のⅠ‐問7(1)(江戸時代における歌舞伎の変遷・発展、4行=140字程度)のように、論述問題で文化史にかかわる(少しやっかいな)論点がとりあげられたこともあります。
そのほかに、政局・政党の動向などを問う政治史の出題率がやや低いという傾向を指摘できないわけではありませんが、経済学部だからという理由で、手を抜く分野を勝手に想定しないほうがよいでしょう。
大学側が試験範囲を限定している分、その範囲については緻密な学習が求められています。
■難易度からみた特徴★
慶大経済学部の日本史には、かつては難問・奇問もいくつかみられました(2~3問程度)。
また、グラフや図表を読み解く問題も多いため、慣れないうちは困惑するところがあるかもしれません。
しかし、難問・奇問の類(たぐ)いは合否には直接関係しないし、近年は減少傾向が顕著です(2018年度・2020年度は0問)。
グラフ・図表の読解問題も、大体において素直に思考すれば正解を導くことができるようになっています。
残りの大半は基本・標準レヴェルの問題で占められているので、まずは妙な抵抗感を抱かないようにしましょう。
□特徴3□ 図版・脚注など教科書の細部に目を光らせて作成された問題が多い
これが難易度の点からみた最大の特徴です。
➊2017年度Ⅱ‐問11「回答兼刷還使」、➋2018年度Ⅱ‐問11「石橋湛山」、➌2019年度Ⅲ‐問18「PKO協力法」などが、その好例です。
慶大経済学部の志望者に、ここであらためて教科書の大切さを説くまでもないと思いますが、細部にまでこだわるべき学習素材として最新の教科書を全面的に活用しているかどうかを点検してみてください。
合格ライン突破を確実にするためには、出題者と同じ水準・目線で教科書を精査していく努力が欠かせません。
テーマ 早慶大受験・正誤判定新研究
https://ameblo.jp/nojimagurasan/theme-10096090024.html
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必ずしも反応が素早いわけではないのですが、
受講生への返信をできるかぎり優先するようにしています。
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受験日本史の通史+演習講座。
1ユニット単位での受講が可能です。
浪人生中心に、今年はすでに問題演習にかかわる質問も
かなり届いています。
実戦ユニット1~4(論述問題を含む総合オリジナル問題演習)の
活用も考えてみてください。
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勉強は見えてくると面白い。
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なお、何が生じても、皆さんが大学受験の際に
身につけなければならないことは決まっています。
それらをすべて伝えきるための手立てを
必ず講じるつもりです。
強い気持ちで勉強を続けましょう。
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