こんにちは。


「少数派の輝きのために」(『出版ダイジェスト』第2055号)の続きです。


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下品な大人にさようなら


本の世界をみると、君たちが随分ないがしろにされていることがよくわかります。

おじさん・おばさん向けの本は、何といっても市場が巨大です。

幼児向けの本は、かなりの確率で大人の眼を意識しなければなりません。

いずれの分野でも、匂いをよくするために工夫と努力を重ねた本が次々に出版されています。


本屋さんのなかで異質な香りを放っている代表的コーナーといえば、それは確実に参考書売り場になるでしょう。

はっきりいって、絢爛(けんらん)たる毒の華かな。

残念ながら、大人たちの大半は、資本主義社会のもつ厳しさゆえに、君たちの未熟さを暖かく見守る余裕をもてないまま、そこにつけこむ戦略しか描けていないようなのです。


だとしたら、毒の華を拒否してみせることで、君たちが大人を正せばいいことになりませんか。

大人の眼を意識した本よりも、はるかに手がかかることをみせつけてほしいのです。

この点でも、君たちが本の匂いを嗅ぎわけられるようになることは、ものすごく大切なんだといっていいでしょう。