胸腺癌は、胸骨の裏側、心臓の前にある”胸腺”にできる稀な悪性腫瘍です。頻度の多く悪性度が低い胸腺腫と比較すると予後は不良で、早期であれば手術が行われますが、進行した状態では放射線や薬物療法が選択されます。日本で約130名の患者数と非常にまれな疾患です。レンバチニブ(レンビマⓇ)は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR1-3),線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1-4、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対するのマルチキナーゼ阻害剤です。これまで肝細胞癌、甲状腺癌に適応がありましたが、この度、切除不能な胸腺癌に対して保険適応となりました。経口薬です。

 

臨床試験ではプラチナ併用化学療法後の2次治療以降を対象として、無増悪生存期間(中央値)は9.3カ月でした。

希少な悪性腫瘍に対する薬は少ないですが、一つ一つ薬剤が増えていくことで、患者さんの予後改善につながっていくことを期待したいです。