大好きな脚本家、木皿泉のドラマ『セクシーボイスアンドロボ』が最終回を迎えてしまいました。視聴率で苦戦したらしいけれども、とても良いドラマでした。
正直この『セクシーボイスアンドロボ』は、木皿泉がスパイモノ!?冒険活劇!?…と、これまでの作品とは、まったく違うイメージだったので、もしかすると、ものすごく苦労して書いているんじゃないだろうか…とか、つらい仕事になってしまっているんじゃないだろうか…とか、あまりにも好きな脚本家なので、勝手に書き手側のことばかりが気になってしまって、素直に楽しめない部分がありました。
ただ、油断していると、ぐわっといきなり心臓を鷲掴みにされるようなセリフがさらっと出てきたり、かと思えばぷっと吹き出してしまったりと、会話のテンポ、テーマの深さやセリフの秀逸さは、さすがとしか言いようのない完成度の高さでした。他のドラマにはない木皿泉ワールド、ハマります。
全話録画してあるので、時間のあるときにゆっくりと、今度は先入観をできるだけなくして、もう一度観てみたいなと思ってます。

ぼくの今まで観てきたドラマのベスト3は、1位『すいか』、2位『野ブタ。をプロデュース』と『芋たこなんきん』(どちらかひとつは選べない!!)、そして3位がこの『セクシーボイスアンドロボ』。
この4つのドラマのうち、『野ブタ。をプロデュース』以外は、視聴率でかなり苦戦したらしいけれど、この4作品は半端じゃないです。木皿泉はただものじゃない。先入観や、俳優の好みだけでドラマを観ている人が多いということなのか…ぼくには視聴率の数字って何の参考にもならない場合が多いです。

(『すいか』『野ブタ。をプロデュース』『セクシーボイスアンドロボ』は木皿作品。『芋たこなんきん』は木皿泉の脚本ではありませんが、ぼくが唯一、人前で我慢できずに号泣したドラマです。男の子なのに…人前で泣いちゃうなんて!!恥ずかし~!!)

とにかく、現時点で、木皿泉を越える脚本家は、この世に存在しない。と言っても過言ではないのだ。というのは、『時効警察』のナレーションですが、時効警察は正直、「帰ってきた」よりも前回の方がおもしろかった。
エンターテインメントとしておもしろいドラマはたくさんあるけれど、一生、心に残り続けるだろう、もう忘れることはできないだろう…と、誰かに恋をしてしまったように、切ないほど好きになってしまうドラマは、人との出会いと同じように、そうそうあるものじゃない。

日常の、普通の毎日の中で誰もが感じているけれど、言葉にならなかったり、答えがなかなか出せないでいることを、優しい言葉で教えてくれたり、安心させてくれるこの4つのドラマは、出会えたことに本当に感謝したくなるような、素敵なドラマでした。
ひとつひとつの良さを書き始めたら、とんでもなく長い文章になってしまうので、それはまた別の機会に。