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中学3年生の時、とある政治家の家の離れを借りて住んでいた。


俺の部屋は4.5畳。


住んで数ヶ月した頃、ベッドに寝ていると天井に茶色い染みがベタベタ付いていることに気づく。


こんなの前からあったっけ?


と思いながら特に気にしないまま過ごしていた。


そのうち夜中に目を覚まし真っ暗な天井をぼんやり眺めていると、白いものが暗闇から浮き出てくるように感じた。


更に数日後、また夜中に目を覚まし寝ボケまなこで暗い天井を見ていると、また白いものがボワ〜ッと浮き出てきて、それが次第にワイシャツ姿の男の人の肩から上の部分のように見えてきた。


そんなことが何日か続いた。


それと関係は無いと思うが、数ヶ月経った頃に祖父が急病で他界した。


教職を定年して5年、まだ65歳だった。


それから中学卒業まで半年をその家に住んでいたが、白いワイシャツ姿の人影は見なくなったが、代わりに茶色い染みが増えていったように感じ、それが段々と手のひらや指を擦り付けた形に見えてきた。


茶色いのは赤茶けた古い血で、それがついた手をベッタリと擦り付けた後のようにも感じてきたのだが、当時はそんなに深く考えもしないまま卒業を迎えた。


祖父の死により母の実家に住まなければならなくなり、俺は予定していた高校ではなく区域外の高校を受験したのだった。


そして無事に合格し、引っ越しの日に母が母屋の政治家夫婦に挨拶に行くと、奥さんが鬼の様な形相で出て来て挨拶する母に何故か終始冷たい態度だったという。


母曰く「敷金を返せとでも言われると思ったのかしら」と。


だとしても政治家の妻として、いや、政治家の妻だから性格が悪いのか。


俺もその奥さんにビビった時があった。


塾から帰った夜10時頃、母屋と離れの間にある倉庫に自転車を置きに入ろうとしていた時、母屋のベランダから仁王立ちで無言のまま俺を見下ろしている奥さんがいた。


俺が軽く会釈をしても、無言のまま微動だにせず俺を睨むように見下ろしているだけ。


普段は笑顔で挨拶を交わす普通のおばあちゃんだっただけに、その時は全く違う人というか鬼を連想させるほどビビったのを覚えている。


俺が夜遊びして来たとでも思ったのかな。


今思えば、あの離れも奥さんの人格も怖い思い出だ。