薄暑の候、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

2023年6月10日、熱海起雲閣にて第49回佐佐木信綱祭短歌大会の開催致しましたので報告させていただきます。 コロナ禍により4年ぶりの熱海での開催となった本年は、全国から一般の部317首(自由題157首・熱海もしくは「金」を詠み込んだ題詠の部160首)の詠草をいただき、信綱の孫である歌人の佐佐木幸綱、静岡県歌人協会会長 柴田典昭、大西久美子、谷岡亜紀が一般の部の選を行い佐佐木信綱大賞・熱海市長賞・佐佐木幸綱賞・静岡県歌人会賞・凌寒賞などを授与致しました。

学生の部は中学生の部692首、高校の部597首のご投稿をいただき、信綱のひ孫である佐佐木頼綱・佐佐木定綱が選を務め、熱海市長賞・熱海市教育長賞・静岡県歌人協会賞・凌寒会賞などを授与しました。

以下に受賞作と詠草集PDFを掲載させていただきます。

改めて詠草をお寄せくださった皆様、運営を支えてくださった熱海市、ボランティアの皆様、取材してくださったメディアの皆様、情報シェアしてくださった皆様、関わってくださった皆様に厚く御礼申し上げます。

 

 

 

 

第49回 佐佐木信綱祭短歌大会 入選作

 

 

 

一般の部 選者:佐佐木幸綱・柴田典昭・大西久美子・谷岡亜紀

 

 

佐佐木信綱大賞

・猿が来て人間が来て鳥が来て味わいてゆく信綱の蜜柑

 笠巻睦

 

熱海市長賞

・江戸城へ駕籠で届けし温泉を積みて真冬のタンク車走る

 壷井和子

 

佐佐木幸綱賞

・宵闇のなだりに細き金色の帯走らせて列車過ぎゆく

 岸浩子

 

・凌寒荘特別賞 自由題の部

 一筋の緑の澪を生み出して茂る草分け刈払機進む

 高嶋信

 

凌寒荘特別賞 題詠「熱海」または「金」の部

・エリザベス女王金貨のペンダント買いくれし父も女王も失せぬ

 清水あかね

 

静岡県歌人協会賞 自由題の部

・今日からはホモ・ルーデンス職退きし足裏(あうら)を遊ばす春の足湯に

 林充美

 

静岡県歌人協会賞 題詠「熱海」または「金」の部

・初島の漁港の野良猫ふとりじし群れのボスらしふぐりを揺らす

 榛葉貞代

 

柴田典昭選者賞  特選

・ぼくらには聞こえぬ音で興ずるは花の調べに蝶の手拍子

 佐藤直大

 

大西久美子選者賞  特選

・江戸城へ駕籠で届けし温泉を積みて真冬のタンク車走る

 壷井和子

 

谷岡亜紀選者賞 特選

・山深みしんしん木霊迫り来て不意に桂の大木現る

 奥本 佳子

 

 

生徒の部 佐佐木定綱選(※学校名は応募当時のものです)

 

 

熱海市長賞

・私だけ聖書を持っていないからつま先ばかり見ていた礼拝

 女子学院中学校 平井たま希

 

熱海市教育長賞

・空吸えば鎖骨が微かあの鳥も立派な鎖骨を持ってるんだな

 高田中学校 野口恵里歌

 

静岡県歌人協会賞

・あせかおるあしのうぶげもせんめいにみえるくらいにあなたが好きよ

 多賀中学校 森野百音

 

凌寒会賞

・暑い夏いろんなところゆがんでる向こうの坂も遠い海辺も

 熱海中学校 井ノ口結愛

 

 

高校の部 佐佐木頼綱選(※学校名は応募当時のものです)

 

 

熱海市長賞

・散策路イヤホンしてても音楽とともに聞こえる鳥の歌声

 熱海高等学校 安田和鈴

 

熱海市教育長賞

・街の海にかつての漁船を描きたして明日のための余白を残す

 磐城高等学校 関根杏華

 

静岡県歌人協会賞

・ぬるい夏の日陰をひとり踏んでゆくプールサイドにうらがえる蝉

 旭丘高等学校 渡邉美愛

 

凌寒会賞

・星型のオクラを並べそうめんとからませ作るミニ流れ星

 ワシントン日本語学校 カルボスキー由莉香

 

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第49回佐佐木信綱祭詠草集