不適切コンサルとの関係を途中で止められた理由は? | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
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こんにちは! 廣田信子です。

 

昨日の続き、CCUシンポジウムで話したことです。

 

………………………………………………………

一旦、総会で承認されてしまったら、

おかしいと思っても立ち止まれないのが管理組合。

 

そんな状況にあって、

施工業者との契約寸前で、

すべてを白紙に戻したA管理組合を紹介したいと思います。

 

Aマンションでは、

2回目の大規模修繕工事に当たって、

修繕委員会が立ち上がりました。

 

まず、改修設計コンサルタントを選ぶことになり、

コンサルを公募しました。

 

数社のプレゼンを見て、

プレゼンが素晴らしく金額も低いBコンサルを選定、

これで、うまく進むと思ったのですが、

 

実際に検討が始まってみると、

管理組合が望まない工事を提案してくる、

打合せには技術者か来ない、

質問にきちんと答えてくれない、

 

…と、不信感を持つことが続くのですが、

どんどん話を進み、いよいよ施工業者選定に。

 

公募(のはず)に数社が応募したのですが、

その金額がみんな揃って高額なのです。

 

第1回目の大規模修繕工事の2倍近いのです。

 

さすがにおかしいと思い、調べ始めるのですが、

理事会で手続きは進められ、

プレゼンののち施工業業者が決まり、

総会で承認され、あとは施工業者と契約を交わすだけ。

 

施工業者は、すでに準備を始めています。

 

そのころ、ちょうど不適切コンサル問題が

マスコミで報じられるようになり、

 

不信感を押し殺したまま、契約していいか…

修繕委員長は悩みます。

 

第1回の大規模修繕工事の資料と比べ、

第1回の時の理事や修繕委員に相談し、

 

やはり、この積算の数字や見積金額はおかしい、

と言える証拠が見つかったのです。

 

でも、自分たちが理事会に答申し、

総会で決まった工事をストップさせるのは

勇気がいることです。

 

自分たちが間違っていたと認めることでもあり、

コンサルが開き直ったら

管理組合に損害が発生するかもしれないのです。

 

このまま、

黙って契約してしまった方が楽だと思っても

誰も責められません。

 

でも、修繕委員長は勇気を持って契約を中止し、

コンサルときっちり対決することに決めました。

 

それができたのは、住民の応援があったからです。

 

コミュニティ活動が盛んなマンションなので、

修繕委員会が悩んでいる状況は、住民にも広がります。

 

修繕委員長の人柄もみんな知っています。

 

たとえ大規模修繕工事の実施が遅れても、

コンサルに払ったお金が無駄になっても、

損害賠償請求されることがあったとしても、

 

ここで見て見ぬふりを押し通して、

信頼関係がない状況で工事を進めるのはやめよう。

 

自分たちも応援するから

修繕委員長、がんばって行動して…という後押しです。

 

それからは大変でしたが、

数量計算書の中にあまりにもおかしい数字があり、

コンサルも最後は認めざるを得ず、

 

世の中で不適切コンサル問題が騒がれている中、

これ以上問題を大きくするのは得策ではないと

判断したこともあったのか、

 

建物診断以外のコンサル料は全額返却されました。

 

その交渉をサポートしたのは、

昔から顧問契約していた弁護士さんと、

地元の信頼関係があるマンション管理士さんでした。

 

その後、一から仕切り直し、

今度こそ信頼できるコンサルタントを選ぶところから始め

結果、誠実な建築士さんと出会いました。

 

その建築士さんへの信頼もあって、

たくさんの施工業者が手を上げてくれ、

 

出される見積金額も前とは全く違う金額が出てきて、

最終的に1年前と比べると、

2割ぐらい安く工事ができるようになったのです。

 

施工業者も誠実に仕事をしてくれ、

大規模修繕工事を無事終えることができました。

 

仕切り直すことで、浮いた2割のお金は、

これから高経年に向かっていくマンションにとって、

たいへん大きなものです。

 

このマンションで、

不適切な大規模修繕工事を、

寸前で押しとどめることができたのは、

コミュニティのつながりがあったからだと思います。

 

もし、このマンションが、

常に執行部の責任追及をしているような体質だったら、

 

悩んでいる状況を話せるコミュニティがなかったら、

 

修繕委員長は、自分たちの失敗をあえてオープンにせず、

総会決議したことだから…で済ませていたことでしょう。

 

ですから、一番の勝因は、

コミュニティ活動で培った、

仲間を信じよう、支えようという

このマンションのマインドだったと私は思います。

 

不適切なことは受け入れないという意思が示されなければ、

どんな専門家も助られないのですから。

 

さて、

いろいろなことがあって無事工事が終了しましたが、

選定までの細かい事情を知らない居住者も多いです。

 

ましてや、そのことを、

次の大規模修繕工事まで覚えている人は

ほとんどいないでしょう。

 

ですから、

この失敗を認めて成功に導いた修繕委員長は、

最後の総仕上げてとして、

工事業者選定までの記録をPPT数十枚に残しています。

 

次回はもう自分は関われないだろから、

その時のメンバーにこれを見てもらおうという思いからです。

 

 

さらに、この失敗体験が他のマンションで役立てばと、

先日、私の講座でお話をして下さいました。

 

管理組合内部の事情を話していただけるのは、

管理組合の中での信頼があればこそ

許されていることだと思います。

 

一つの大規模修繕工事の実施までの過程を、

不適切、適切の両方で経験し、比較できるのですから、

とても貴重なお話でした。

 

 

不適切な方法でも、より多くの利益を上げたいという欲望は

簡単にはなくなりませんから、

 

管理組合は、やはり自衛しなければなりません。

 

どうやって自衛するかですが、

 

専門的な知識を得て

自分たちで専門家並みの判断ができるように

ならなくては…と思う必要はなく、

 

何かあっても、

誰の責任と責めるのではなく、

失敗もオープンして次に活かせるような

風土を育てることです。

 

そういう風土は、よい専門家を引き寄せます。

 

そして、

失敗体験こそ次の世代にしっかり残り、

失敗こそ周りにも知らせてあげようという、

拡大した意識を持てるようになることです。

 

こういう風通しのいいところに、

「魔」は忍び寄りません。

 

都合が悪いことはかくそう、ごまかそう、

自分だけよければいいというマインドが蔓延しているところは、

「魔」が入りこみやすいのです。

 

管理組合の側が、失敗体験も共有して、

広く協力し合うマインドを持つようになることが、

業界を変えていくことにつながるのではないかと思います。

 

………………………………………………………

続きは明日!

 

 

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