もう1/5総会とは言わない | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
一人ひとりが自分らしく活躍しながら、力を合わせることで豊かに暮らす、新しいコミュニティ型社会を目指して・・・

こんにちは! 廣田信子です。

 

勉強会のテーマだった

最高裁平成29年12月18日判決は、

 

理事会決議によって、理事長を解任できるか?

 

ということが、論点でした。

 

その内容は下記に書きました↓

https://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12337719463.html

 

結論は、

理事会決議で理事長を解任することができる

 

すなわち、

理事長と言う役職を平理事にすることができる

 

というものでした。

 

理事長という役職ではなくなるものの

総会で選任された理事と言う立場は、そのまま生きるのです。

 

今後、理事会の多数決で理事長職を解任された人が、

それを拒否する根拠はなくなった訳ですが…

 

理事長を解任されるほどの独断があった人が、

平理事に残って円滑な理事会運営ができるのか…

 

そもそも重大な誠実義務違反があった人が、

そのまま理事に残っていいのか…

 

等々、運営上は課題が残ります。

 

実際、この最高裁判決の事例でも、

理事会での理事長解任のあと、

本人の抵抗にあって、

 

区分所有者が総会を招集して、

この人の理事解任を決議しています。

 

理事解任になれば、

同時に理事長でもなくなるわけで、

もう争うことはないはずなのに…

 

最初の理事会での理事長解任決議の不当性を争って、

訴訟になったのです。

 

何か、無駄なエネルギーですよね。

 

最初から総会を開いて、理事の解任からすれば、

よかったのかも…と思ってしまいました。

 

さて、その場合、

理事長という役職の人の理事解任を求める総会を、

誰が招集するかが問題になります。

 

理事長が自分を解任するための総会を

招集するはずがないからです。

 

この裁判のケースでは、

区分所有者である理事が、1/5の区分所有者をまとめて、

区分所有者による総会招集をしています。

 

区分所有法第34条によると、

 

総会を招集できるのは、下記の2つです。

①管理者

②区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上を持つ者

 

①管理者≒理事長ですから、

理事長が対抗している場合は、

 

②区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上を持つ者

が総会を招集するしか方法がありません。

 

今回の事例でも、②を招集し、

その理事長だった人の理事解任決議をしたのです。

 

勉強会の中で、②の招集は大団地では不可能だ

という発言がありました。

 

この裁判の場合は、159戸ぐらいの規模だから、

1/5の賛同を集めることができますが、

1000戸のマンションでは、とても1/5の署名は集められない

という趣旨です。

 

1000の1/5は、200ですから、

実質的にかなり難しいのは、その通りです。

 

でも、1/5という数字は、管理規約で、自由に、

もっと小さい数字にすることができるのですよ。

 

区分所有法は、

この定数(1/5)は、規約で減ずることができる

としています。

 

区分所有法の前提は、

せいぜい50戸ぐらいのマンションではないかと思われます。

 

もっと大規模なマンションがあることを考え、

1/5より小さな数の方がいい場合は、

規約でそのように定めることを想定しているのです。

 

でも、なぜか、大規模マンションでも、

規約で1/5より小さい数字にしているところはほとんどありません。

 

標準管理規約と同じにしているということでしょう。

 

ですから、

大規模団地で、区分所有者が総会を招集するのは不可能…

ではなくて、

 

自分たちの規約で不可能にしているということで、

規約を改正して、可能と思われる数字に改正することは

いくらでもできるのです。

 

私は、大規模団地の管理規約の診断や改正の監修を依頼されると、

必ず、このことを一応意見して言います。

 

500戸規模なら1/10、1000戸規模なら1/20

でもいいのではないかと思っています。

 

勉強会の中でも

ある一定のグループが理事会の多数派を占め

思い通りにやっている…というような話もありました。

 

理事長に限らず理事が暴走した場合に、

良識的な組合員が、総会を招集できるという趣旨の規定が、

実質的に不可能では意味がないと思うからです。

 

500戸規模なら1/10というと、50人です。

50人が賛同すれば、

総会を招集できてもいいと私は思います。

 

でも、この私の意見は、たいてい採用されません(笑)

 

理由は3つ

・標準管理規約と同じじゃないのは面倒だ

・区分所有者が総会を招集するという場面が想像できない

・理事会に不信任をつきつけるような総会招集はできない方がいい

 

どうするかは、それぞれの管理組合の選択ですが、

 

区分所有者の総会召集は「無理」なのではなく、

自分たちの規約で「無理にしている」…という自覚は

持っていてほしいと思います。

 

で、私たちはつい、この区分所有者が招集する総会を

1/5総会と略していいますが、

この呼び方がよくないな…と反省しました。

 

1/5でも1/10でもいいのですから、

「区分所有者招集総会」と言わなくちゃいけないですね。

 

今回の判決で、

理事会で理事長と言う役職の解任ができると確定したことは、

新理事長が総会を招集できるので、

その点は、よかったと思います。

 

「区分所有者招集総会」は、

それは、たいへんですから。

 

明日は、「区分所有者招集総会」の招集の仕方を、

確認したいと思います。

 

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