コミュニティ条項削除問題の後遺症を抱えていたのは私だった   | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
一人ひとりが自分らしく活躍しながら、力を合わせることで豊かに暮らす、新しいコミュニティ型社会を目指して・・・

こんにちは! 廣田信子です。

 

先日のマンション管理基礎セミナーのテーマは、

「安心で快適な生活の基本はコミュニティ」

 

まるまる「コミュニティ」がテーマです。

しかも、コミュニティをテーマに3連続講座で、

実際のワークショップもあります。

 

自治体の外郭団体が、

管理組合や居住者からの多数の相談を受ける中で、

コミュニティがいかに重要かを実感し、

今回、3連続講座を組んだとのことです。

 

10年前に、私が思ったことと同じです。

相談を受けていると、

コミュニティなくして円滑な管理組合運営なし、

ということを思い知るのです。

 

そういうセミナーの趣旨ですから、

標準管理規約のコミュニティ条項削除の話なんて、

まったく触れずに、

コミュニティが大切な理由や、

つくり方のヒントを盛りだくさんに、

セミナーを組み立てました。

 

たっぷり時間をとって

質問用紙で質問も受け付けたのですが、

その中にとてもステキな話がありました。

 

50戸未満のマンションで、

築10数年たっても、まったくコミュニティがなく、

お互いに、顔も分からない状態でした。

 

これを何とかしたいと、

昨年、理事長が新年会をしましょうと呼び掛けたところ、

8戸からの参加がありました。

 

まったく交流がなかったマンションで、

8戸の人が集まって、新年会をした…

これって、すごいことですよね。

 

で、今年もやろうということになったのですが、

 

今年は、

夫婦で行ってもいいですか、子供も一緒でいいですか

という問い合わせがあり、

 

すべてOKとしたところ、13人が参加することになり、

実は、今夜、新年会です…と。

 

1戸1人というと親父だけが集まることになってしまうから、

家族も参加できるようにすることは、

とても大事だと思った…と添えてくれました。

 

1人2000円の会費で、居酒屋で行い、

差額は管理組合が負担する…ということです。

 

私が、セミナーの中で、

手間をかける行事じゃなくてもいいし、

最初は少人数でもいいから、

 

とにかく、

集まる機会をつくってみることから始めて…

 

という話をしたので、

自分のマンションの事例を紹介して下さったのです。

 

これだけの人がいっしょに楽しく食事をする機会が

あったのと、なかったのでは、

いざという時に本当に違ってきます。

 

それに、

こういう場で何気なく話されたことの中に、

管理組合運営上、大事な情報があることも多いのです。

 

このお話の中には、

まったく交流がなかったマンションで、

一歩を踏み出す時の大事なヒントが含まれています。

 

とにかく、1回目を呼び掛け、

少人数でもいいからやってみたこと。

 

準備や片付けに手間をかけないよう、

気軽にできる方法をとったこと。

 

会費は半分が個人、半分が管理組合としたこと。

 

家族の複数参加も歓迎したこと。

 

で、この話を紹介しながら思いました。

 

コミュニティ条項削除に関して、

標準規約のコメントに書かれていることなんて、

話さないでよかった…と思いました。

 

2年前の改正で、

標準管理規約のコメント(解説)に、

 

主として親睦を目的とする飲食の経費などは、

マンションの管理業務の範囲を越え、

マンション全体の資産価値向上等に資するとは言い難いため、

区分所有者から強制的に徴収する管理費を

それらの費用に充てるのは適切ではない…

 

と書かれたのです。

 

その基準だと、親睦が目的で飲み会をする費用は、

管理費の使い道として

ふさわしくないということになってしまいます。

 

集会室で乾きもので1杯ぐらいならいいけど、

居酒屋はよくない…なんていうことも言われました。

 

改めて、

あの議論と、あの改正は何だったんだろう…

と思いました。

こんなことを書いて管理組合にどんなプラスがあるんだろう。

 

お互いを知らないマンションで、

とにかく13人が集まって飲食を共にして、

いろいろ話をした…

これだけで十分マンションには財産になります。

 

手間を掛けないよう居酒屋で…いいじゃないですか。

面倒なことは続きません。

 

半額は管理組合から出す…ちょうどいい感じじゃないですか。

 

1戸2人参加は公平性に欠ける…なんてことを言う人は

このマンションにはいないでしょう。

 

ほんと、

「コミュニティ形成」が管理組合の業務から消えた、

あのコミュニティ条項削除騒動は何だったんだろう。

 

もう、

標準管理規約を気にするのはやめようと思いました。

これ、やっぱり変ですもの。

 

親睦のため、飲食を共にしながら話をするため、

その目的で集まるので、いいじゃないですか。

 

住民が顔見知りになったことは、

居住環境を絶対によくします…って。

マンションの価値の向上になります…って。

 

で、今回、気が付きました。

そういうことを気にするのは私たちだけだと。

 

国と言う権威が公表している

「標準管理規約」に書いてあることを、

一応専門家と思われる者は無視しにくいのです。

 

私でも、セミナー等で話をするときに、

どうしても、懇親の飲食に関しては、

少し控えめに話してしまいます。

 

標準管理規約に書いてあることと違うと、

管理組合が混乱することがないようにと…。

 

でも、

管理組合の理事や居住者は、

コミュニティづくりに関して、

標準管理規約にどう書かれているかなんて、

そんなことは知らなくても何の問題もない、

むしろ、知らない方がいいと確信しました。

 

で、管理組合に真剣に向き合っている自治体ほど、

標準管理規約のコミュニティ条項削除なんて気にしないで、

マンションのコミュニティづくりに真剣です。

 

コミュニティ条項削除問題の後遺症を抱えているのは、

私の方だったのかもしれません。

 

これを機会に完全に抜け出せそうです。

 

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