「信頼関係」が軽視される社会は… | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
一人ひとりが自分らしく活躍しながら、力を合わせることで豊かに暮らす、新しいコミュニティ型社会を目指して・・・

「信頼関係」って何だろう…

そう改めて感じさせられることがありました。

 

人をきちんと見て信頼関係を結ぶのではなく、

「信用」できそうな「ブランド」に騙される、

 

騙されないために、

チェックにチェックを重ねるしかないという

今の現状を生んでいるのは何なんだろうか…と。

 

これは、裏返すと、

お金の力で、「信用」されそうな「ブランド」で

着飾りさえすれば、人は騙せる…

騙された方が悪いというマインドのビジネスを生み出します。

 

「不信感」に付け込んで

「チェック」という名目で

高額な対価を得ようというビジネスも生まれます。

 

 

日本人は、「人を信用しない」社会…

そう始めて聞いたのは、10年ほど前、

神野直彦先生の講演を聞いたときです。

 

その話を聞いた直後に講演録として、

私がブログに書いた文章の一部です。

 

……………………

日本とフィンランドの大学生を対象にした

対人信頼感の国際比較調査によると、

 

フィンランドでは、「他人を信用している」という項目に

肯定的な回答をしている人が7割を越えていますが、

日本では3割を切っています。

 

しかも、「他人を信用している」のうち、

ほとんどは「ややそう思う」であり、

「そう思う」とはっきり答えた人は2.7%しかいません。

 

逆に、

「この社会では気を付けていないと

だれかに利用されてしまう」

という項目に対しては、

 

フィンランドでは、「そう思う」人は2割ちょっとですが、

日本では8割がそう思っているという結果です。

 

日本では、ほとんどの人が、

気を付けていないと

誰かに利用されてしまうと思っています。

 

また、

「ほとんどの人は基本的に親切である」に、

フィンランドの学生は肯定が8割、

日本は4割を切っています。

 

この「利用される」「他人は信頼できない」

ということを前提に社会をデザインすると、

大変なお金がかかります。

 

相手を信用しないのですから、

信用しない者の間で取引をしようとすると、

幾つものチェックを入れなければなりません。

官がやろうが民がやろうが関係ありません。

 

いくらチェックを入れても、

なおそのチェック機関が信用できないのだから、

またチェック機関を入れるというようになって、

コストがかかってしょうがない社会になってしまう訳です。

 

こういう人間の信頼感をヨーロッパでは、

ソーシャルキャピタル、社会資本と呼んでいます。

 

日本で言う社会資本とちがって、

人間の信頼感、きずなのようなもので、

これがあるかないかが経済発展を決めると考えられています。

 

北イタリアと南イタリアは

随分経済発展の度合いが違いますが、

 

北にはソーシャルキャピタルがあり、

南にはそれがないからだと言われます。

 

「信頼」や「絆」がある社会は、

誰がチェックしなくとも、

みんなが社会の一員として良心をもって

「やるべきことをやる」という社会を自然につくります。

 

「信頼できない」

「他人に利用されないようにしなければ」という社会は、

 

「うまくやったものが得をする」

「チェックにさえひっかからなければいい」

 

さらには、チェックさえも

「形式だけ整っていれば、

自分の責任じゃないんだから、本気でやることはない」

というような考え方を増長させます。

 

また「不信感」の蔓延は、

社会全体の利益を考えなければならない

責任ある立場の人をも、実は誰も信頼していない。

そして、そのことを容認してしまって社会にしてしまいます。

 

そして、

「自分が損をしないように」というのが一番の関心事

というような社会とつくります。

 

「耐震偽装」問題も、EVの事故も、

最近次々に明らかになる企業の不祥事、

社会保険庁の問題も、

こういった社会が生み出した結果ではないでしょうか。

 

その結果法律は強化され、

されなるチェックの仕組みがつくられましたが、

 

それを本当に担える人がいないというのが

現状のようです。

 

そして、そのコスト負担は

結局私たちに返ってくるのです。

 

……………………

「耐震偽造」「社会保険庁の問題」

その当時の社会的関心事が出てきます。

 

その後の10年で何かが変わったでしょうか。

同じような不祥事が性懲りもなく繰り返されています。

 

マンションに関する状況も同じです。

 

西京極大門ハイツの佐藤理事長は、

「人」ではなく「ブランド」を信用するというマインドは、

コスト高を生んでいるといます。

 

一方で、

信用されそうな「ブランド」で着飾ることに、

管理組合は弱いという現状もあります。

 

それでも、あきらめずに、

「信頼関係」に基づくマンション管理について

改めて考えて行きたいと思います。

 

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