皆様、ご無沙汰しております。Mでございます。

 

コロナという未曽有の事態に見舞われ

すっかり劇場から脚が遠のいておりましたが、

ワクチンも5回目の接種を終え、

また劇場に通える日々が戻ってまいりましたことを

嬉しく存じます。

 

さて。

今井伸昭氏演出作品『ラ・ボエーム』を

拝見してまいりました。

 

いやあ、泣かされました。

これは素人考えではありますが、おそらく、

学生さん達の公演であるということもありましょう。

彼らの恋は真実の愛でした。

今井氏の意見では、小濱さんの教え方が素晴らしく、

ビブラートの少ない声を作るのだそうで、

その声で語られる恋は純粋そのものであり、

涙を誘ったというのですが、

公演プログラムに掲載された小濱氏の言葉では、

今井氏の演出を讃えており、

もちろん指揮者小崎氏の働きも相互して、

感動的な舞台を作り上げているのだと感じました。

 

パバロッティのような高音を響かせられなくても

もっと素晴らしく感動的な舞台でありました。

 

時期を同じくして出会い別れる二組の恋人たち、

そして、金銭感覚の優れた音楽家と、

自らの欲求に正直な哲学者、

走り回る子供たち、お喋りに興じるカミさん達、

個性豊かな出演者たち!

それぞれがそれぞれの役柄を、それぞれの人生を、

舞台上で存分に生きているように感じました。

等身大の芸術家たちの人生であろうと思います。

芸術大学生たちの。

 

幕間でも響いていたバイオリンは、

時に悲痛な叫び声となり、

心を搔きむしられました。

オーケストラの芸術家たちも

それぞれの人生を生きていたように感じます。

 

個々の細かな演出は今までに見たものと異なる部分もあり、

聞けば、演者によって多少変えるとか。

今年はまたラ・ボエームを演出なさるそうで、

いやはや楽しみなことです。