お釈迦様が、靈鷲山(りょうじゅせん)という、いつも説法をなさるところで、何にもお話にならずに、ただ黙って一輪の花を摘まんで、皆に示した。
その場にいた多くの弟子たちは、何のことやらさっぱりわからなかった。だが、ただひとり一番弟子の迦葉尊者(かしょうそんじゃ)だけが、にっこりと微笑んだ。
それをみて、お釈迦様は、「私の教えはあなたにに伝わった」と言った。
これが禅宗の起こりとされている。
禅は、経典や言葉を伝えるのではない。以心伝心、心から心に伝わるものだという。時間や空間を超えても、心は通じ合っているものだという。
「穏やかな心が、穏やかな言葉を生み、穏やかな行動を導く」。
自分の心に調和をもたらせば、平和の礎となる。
安積得也『一人のために』から。
「眼前のことで手いっぱいのときも、花を忘れまい、大空を忘れまい、おおいなるものましますことを忘れまい」
花を見て不機嫌になる人はいまい。
花を見て微笑む気持ちを忘れまい。
鎌倉FM「ごきげんラジオ」8月30日放送より。





