旧知の俳優、大地康雄さんが出演される朗読会があると知って、なかばミーハーで出かけた。
しかも、ところは、馴染みの「うめとぴあ」。
大地さんの前に3人の女性が朗読される。
最初の方が読み終えたら、エスコートの方が現れ、手を引かれて退場された。そうしたら、次の方も手を引かれて登場した。
朗読が始まると、手で本をなぞるしぐさ。
ここでようやく気付いた。点字で朗読しているのだと。
視覚障害の方たちと気づかぬほど流暢な朗読だった。
朗読していたのは、「こうばこ(香箱)の会」のメンバー。
1993年に目の不自由なかたを中心として旗上げした「トークパフォーマンス」のグループ。
「あらゆるバリアから自由であること」をスローガンに、目の不自由な方と一般の方が一緒に楽しめるトークパフォーマンス(朗読劇)の公演をしてきた。
こうばこの会のHPにステキなことが書いてあった。
「声」って、最高級の楽器じゃありませんか?
「言葉」って、魂が宿ってるって知ってました?
例えば「あ」。たった1文字の「あ」でも、悲しい「あ」、うれしい「あ」、抗議する「あ」、恐怖に凍り付く「あ」…
声の魔術で、無数の「あ」が出現するんです。
こうばこの会とは、そんな「言葉と声の魔術師」たちが集う、決して怪しくはない(?)「トークパフォーマンスグループ」なのです。障害の有無に関係なく、ボランティアやスタッフのみなさんと共に力を合わせて活動しています。
大地康雄さんは、こうばこの会の活動を支援していたのだ。
3人が朗読する間、身じろぎもせず、聴き入っていた。
ボクも、聴き入った。
ふだんは、聴きながら気が散ることもあるが、雑念なく聴けた。
それは、読み手にも邪念雑念がないからだろう。
文字に囚われることがないからだろう。
内容もつたわり、情景も浮かんでくる。
間の取り方も絶妙だった。
こういう朗読は出来ないと感嘆した。
大地さんの滋味あふれる朗読
こうばこの会 竹内智美さんの朗読