青い空は青いままで
子どもらに伝えたい
燃える八月の朝
影まで燃え尽きた
父の母の 兄弟たちの
命の重みを 肩に背負って 胸に抱いて
青い空は青いままで
子どもらに伝えたい
あの夜 星は黙って
連れ去って行った
父の母の 兄弟たちの
命の重みを 今流す灯篭の 光に込めて
青い空は青いままで
子どもらに伝えたい
全ての国から
戦(いくさ)の火を消して
平和と愛と 友情の
命の輝きを この堅い握手と
うたごえに込めて
うたごえに込めて
青い空は青いままで子どもらに伝えたい
ほんとうにそう思う。そうあらねばならないと思う。
原爆の惨禍や反核を扱った音楽作品の中で、
「青い空は」はとりわけ広く長く愛唱されてきた。
1971年、労働運動や平和運動と結び付いて人々を歌で勇気づける「うたごえ運動」から生まれた。夏休み中の「平和登校日」に子どもたちに歌われ全国に広まった。
3番まである歌詞に「原爆」の2文字は一度も出てこないが、巧みに原爆を表している。
「青い空は」は、原水爆禁止日本協議会(原水協)が、うたごえ運動の推進母体「日本のうたごえ実行委員会」と共同で記念創作曲を募ったのがきっかけで誕生した。
終戦から時がたち、戦争体験者の次の世代、子どもたちと一緒に歌える歌が熱望されていたのだ。
戦後80年、被爆80年の今年8月、この「青い空は」を主人公にしたコンサートが開かれる。その進行役を仰せつかった。
関係者が集まっての打ち合わせで作曲者の大西進さんにお会いした。
御年93歳。核のない平和な社会を実現させる一念が長寿をもたらしたと思う。
「にのしま」「夾竹桃のうた」など、一貫して平和をテーマにした曲を作り続けてきた。大西さんの作品は、全国で歌い継がれてきた。このたびも、一部では「青い空は」にまつわる話を展開し、二部では大西さんの11作品を合唱団が歌い上げる。
この日の打ち合わせでも、静かな口調ながら、自分の収集した資料を見せながら、原爆の悲惨さをよどみなく語る姿から、大西さんのゆるがぬ信念を感じ取った。
「青い空はコンサート」は、8月29日(金)15:30から、小金井宮地楽器ホールで開かれる。
中央が大西進さん。