武士道精神の湊川親方 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

湊川親方(元大関・貴景勝)に対面が叶った。

NHKの大相撲中継でおなじみの吉田賢アナウンサーの仲介の労をとってもらい実現した。

 

28歳の若き親方の考え方にすっかり共感した。

惚れ込んだ。

大関昇進伝達式の口上で「武士道精神を重んじ相撲道に精進」と言っていたことを記憶している。

土俵上では、笑顔を封印していた。勝負が終わってからも、言葉少なであった。相撲はスポーツではなく神事であるという考えが根底にある。

勝って奢らず負けて腐らず。勝っても負けても淡々と、勝って喜ばない、負けてくよくよしない。気持ちを一定に保つことだけを考えてやってきた。

いまや希少価値となった大和魂を持った男子なのである。

 

9歳から相撲を始めた時から、横綱になることだけを一心に考えてきた。突き押し相撲を取りながら「手をいっぱいに伸ばしたけど」あと一歩、届かなかった。横綱は、相撲の神に選ばれしもの。神様は、選んでくれなかった。

 

会食の場所に現れた親方は、すっかりスリムになっていた。

引退しておよそ半年。40キロほどの減量に成功した。

「ちゃんこを食べなくてよくなり、楽になった」

笑顔の封印を解いた。言葉を発するようになった。

NHKの相撲解説は、とてもわかりやすい。

それぞれの力士の強みを伝えたいと思っている。対戦した相手ばかりだから、その力士の取り口は知り尽くしている。肌で感じていたことを言語化してくれるから、面白い。

 

引退記者会見で語った「武士道精神を持った、昭和の先輩から教えていただいた、今の時代には少し不向きかもしれませんが、根性と気合を持った、そんな力士を育ててみたいです」という言葉に魅力を感じた。

科学的トレーニングを否定するものではないが、やはり勝負を支えるのは「武士道精神」。

仲良しクラブになってはいけないと思う。

心技体を磨くために、孤高の境地になり、自分の精神力を鍛えていくしかないのだ。ひたむきに「相撲道」にまい進した自分の経験を、若い力士たちに、飾らぬ言葉で伝えていきたいと思っている。

 

親方と話していて、こちらも身が引き締まった。

同時に、嬉しくなった。

「武士道精神」を、大人の寺子屋~次世代継承塾で話してもらいたくなった。親方にお願いしたら、快諾してもらえた。

正式にきまったら、またご報告する。

 

お魚をキレイに食べる親方

現役時代、笑顔を封印していた。