論語知らずの論語塾106~佐藤一斎の書 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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麟祥院には、なにげなくさりげなく「お宝」がある。

論語塾の会場にさせていただいている部屋の掛け軸は、

江戸時代の儒学者の佐藤一斎の書であった。

 

佐藤一斎は、美濃岩村藩士で儒学者。

34歳で朱子学の宗家・林家の塾長となり、徳川幕府の大学頭・林述斎とコンビを組んで多くの門下生の教育にあたった。

門下生は3000人とも言われ、佐久間象山、山田方谷、渡辺崋山、横井小楠も教えを乞うた。孫弟子には勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰、小林虎三郎などがいる。。彼らを通して、一斎の教えが幕末維新により新しい日本を作っていった指導者たちに大きな影響を与えたと言われている。
西郷隆盛も佐藤一斎の『言志四録』全1133条から感銘を受けた101条抜き出し『手抄言志録』として座右に置いた。

 

掛け軸の書には、

三百六旬吉ならざる日なし。
一念善を作す(なす)
是(これ)吉日也。
三百六旬凶ならざる日なし。
一念悪を作す是凶日也。     
 

とあった。さっそくこれを教材にした。
 

人はよく「今日は吉日だ」「凶の日だ」と、「吉凶」を気にする。

だが、そもそも吉日も凶日も、始めから決まっているものではない。

良いことが起これば「吉日」で悪いことが起これば「凶日」だと、後付けで思い込んでいるだけである。

そもそも、良いことは「起こる」のではなく自分で「起こす」ものだ。

悪いこともまた同じ。

となれば、どんな言動にせよ、その日一日を懸命に過ごして日暮れに「今日の私はがんばった」と納得できれば、その日は吉日なのである。

その心構えで日々を過ごすなら「一年、毎日吉日」なのである。

年の始めに「今年は毎日、吉日にするぞ」と思えれば、そうなるのだ。

小林正観さんが言っていることにも、かなり通じる話だ。