シャナナテレビの熊田晃典局長は、マルチプレイヤーだ。
いつも、収録のカメラ担当だが、インタビューを熱心に聞きながら、
愛づちを打ってくれる。もちろん編集も音響効果もお手の物。
『縁たびゅう』のタイトルバックやテーマ曲も彼のセレクトだ。
ミュージシャンとしての活動も長く、ボイトレもしている。
その熊田さんは、ある日突然、「本出しましたよ」というので、
いつのまに書いていたのか驚いた。
音楽関係だけでなく企業向けのボイトレもしていて、声を磨いたら話し方にも変化が出てセミナーの依頼が増えたと喜ばれている。
声の専門家として声の磨き方を惜しげもなく披露したのが、『話し声が9割』という本だ。
声は生まれつきのもので変えられないと思い込んでいる人が多い。
使えば使うほど音色が変わり、磨けば磨くほど美しく響く。
TPOに応じて、立ち居振る舞いが変われば声も変わる。
意識的に自信に満ちた声で話したら、それ相応の行動変容が起こる。
声が変われば人生も変わる。
第一声がとても大事だ。その上で第二印象をよくし、期待値を超える。
本を読んでいると、全般的に、ふだんボクが言っていることと共通することが多いので、嬉しくなる。自分の考えの再確認にもなる。
特に「サ行の活用」には納得。「さすが!」「知らなかった~」「すごーい」「センスいい!」「そうなんだ!」…サ行音は、相手を褒め認め、好印象を与えることばが多い。サ行音は、適切に発音すると、非常に心地よい音になる。
S音は加齢とともに発音が曖昧になるから、「さ」を発音するとき、SとAが重ならないすれば、清々しい印象を与える。
説教、昔話、自慢話を封印しよう。そうしないと年寄りじみた声になる。前向きで謙虚で幅広い興味を持ち、共感するようにすれば、声も若々しくなる。
「ささやき声」の有効性についても述べられている。声高に話すのは威圧感を与える。ささやき声には、人の心を揺さぶる不思議な力がある。安心感、親密感、信頼感を与える。音量は小さいが、声に空気の摩擦音が加わり、コンピューターで波形を表示すると「高周波倍音」が激しい波形を表示するらしい。声は小さくても心に響く。子守歌を大声で歌う人はいない。
余裕のある声の出し方、声を発する向き、賑やかな場所でもよく声が通る咽頭共鳴、緊張緩和の呼吸の整え方、顎と滑舌の関係、声の強弱のつけ方、声のアンチエイジング…少し列挙しただけでも興味をそそられるはずだ。
総じて、気持ちを声に変換出来ていないから、言葉が伝わらない。
声の強弱、高低、抑揚、発音…様々な要素を適切に組み合わせることで、初めて心に響く声になるのだ。
声は人なり。人格が声に現れ、声が人格を作っていく。
天井祝詞は、熊田さんのペンネーム
熊田晃典さん