蔦重に初めて出会ったのは、ちょうど10年前。
車浮代さんの小説『蔦重の教え』を読んだときだ。
いやはや、面白いのなんの。一気呵成に読んだ。
55歳、依願退職を強要された人生がけっぷちのサラリーマン、タケが、
江戸時代にタイムスリップ。
そこで出会ったのが、江戸時代の超やり手プロデューサー、蔦屋重三郎(蔦重)だった。
蔦重に拾われたタケは、
時代の寵児となる絵師たちと親交を重ねながら、
人としての生き方の極意を学んでいく。
その蔦重がNHK大河ドラマになる。
車さん同様に、無名の人が有名になるようで嬉しい。
蔦重に詳しい車さんには、執筆依頼が次々舞い込んでいる。
そんな中の一冊『蔦屋重三郎50のメッセージ』を読んだ。
大河ドラマの始まる前に読んでおきたかった。
蔦重の人生に起きた出来事を挟み込みながら、いまに生きる人達にとって役立つ「蔦重の教え」が50の言葉でまとめられている。
荒唐無稽な新機軸を打ち出しながら、手堅い商売人でもあり、
反骨精神も不屈の精神もあり、人たらしでもあり、親孝行。
彼の歩んできた道には、生きるヒントがいっぱいだ。
そのいくつか。
●信じる力が強い。
●感謝の気持ちを忘れない。
●人と自分を比べない。自分の人生にひたすら集中。
●経験は、裏切らない。
●心の軸があるから、心配り、心遣いが出来る。
●苦手な人とは、人間性でなく能力と付き合う。
●苦手な相手こそ、非の打ち所がない完璧な態度で接し、
批判や攻撃を未然に防ぐ。一定の距離間を保つ。
●逆境を救うのは、磨かれた思考と知恵、そして気迫。
●人から受けた恩も金も、世の中に巡らせる。
●どんな悲しみや絶望も、前に進みための燃料。
●過去の選択が間違っていなかったという答え合わせのため生きている。
●未来は絶対に明るいものになっていく。
明日、いよいよ蔦重に会える。