聞く力は大事。ね、総理? | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

岸田総理大臣の「聞く力」発言をいちばん喜んだのは、どうやら阿川佐和子さんらしい。2012年に出したベストセラー「聞く力」が、さらに増刷になり、帯にはチャッカリ「聞く力は大事。ね、総理?」と書いた。

 

NHK文化センターの講座『ことばの取扱い説明書』(27日)でも、

「聞く力」について、大いに語り合った。とめどなく意見が出て、有意義な時間となった。

 

まず、「聞く」と「聴く」も違いについて考えてみた。

●聞く~ただ耳で。質問。文字面のみ。右から左。無意識にBGM的に入ってくる。自分だけで相手は感じられない。

●聴く~集中力で受け止める。意味や背景まで汲み取る。音楽や自然音は「聴く」。心に留めて咀嚼する。相手の立場を意識する。

 

では、「聴く力」とはなんぞや。

●自分はさておき、相手のことに集中する。

●自分の扉を少しだけ開けておく。

●安心安全の場。

●力は入れなくていい。問わず語り。

●ことばを味わい尽くす。

●違いを面白がれる。

●相手に合わす雰囲気作り。

●ついつい話してしまう。

●愛する力。

●ほどよい沈黙。

●知識教養だけでなく知恵も大事。

 

参加者の一人、大澤貴代子さんは、毎回詳しい感想をfacebookに書いてくださる。今回は、みんなの発言をムラカミがどう聴いているか、注意深く観察しておられたようだ。

●村上さんの「聴き方」の深さと人間的な配慮が良く見えてきたのです。ご自身の意見と違う意見の時は、まずその方の意見を受け止め、その意見がどのようなものであるか理解したあと、肯定感情のままご自身の意見を踏まえながら、違う世界の意見がさらに展開するような質問をしておられた・・・。

その頭の中はどうなっておられるのだろう、と思ってしまうくらいでした。

それをお尋ねすると、「違う意見を聞くと面白くて、前のめりになる」と答えてくださいました。

●村上さんは、生き生きした好奇心に支えられて、聴くという小宇宙を楽しんでおられるのだな、とも感じました。

また、深い心でご自身の向き合った体験を話される時には村上さんは、ほどよい沈黙を保ち、安易なアドバイスめいたことは話されず、口数少なくしておられました。

どんな言葉も丁寧に味わって聴いておられるのが伝わってきます。

●人の話を聴くというのは、その人が自分で何かを気がついていくためのお手伝いなのではないかと思います。

心を開いて話をしたくなる、自分の内面のよりよいあり方に気づけるように話していただくには、やっぱり自分自身の人間性も深めていかなくてはならないのかと思います。

皆さん、活発にご自身の気づきを手を挙げて話しておられ、本当に心の活気のある場を楽しみました。

「聴く」というテーマだけで、こんなに興味深い時間が過ごせるとは、と驚きながら、参加して本当に良かったと心満ちた日でした。

 

岸田総理大臣のおかげで、改めて「聴く」ということを深めることが出来た。しばらく「聴く」ことの取扱いを考えていきたい。