刺繍家の星野真弓さんが、ついに千手観音を完成させた。
去年4月21日に初めての針を入れ、今年7月21日に縫い終えた。
1年3ケ月、22万マスを一本の針で刺繍し通した。
普通は確実に何回も折れ、針を交換するという。
完成した刺繍千手観音の鎮魂を、世田谷龍雲寺の細川晋輔住職にお願いした。細川住職を仲介したムラカミも参列した。
星野さんは、この刺繍千手観音を「レジリエンス」と名付けた。
レジリエンスには、「しなやかな強さ」「回復力」という意味がある。
「どんな困難なことがあっても、一筋の光さえ見出だせたら、人は壁を乗り越える力がわいてくるはず。自分で見いだせないとき、何かきっかけさえあれば心の中に光は必ず見えてくる」という想いを込めながら一針人針縫った。
刺繍なのに、まるで絵画のように思える。22万回の想いが込められて
いると思うと、神々しさを感じる。
細川住職から教えていただいた話。
「1本の手に囚われてはならない。1000通りの思いやり、やさしさがある。どこにも心を置かないことが、どこにも心を置いていることになる。『千手』は『不動心』ということを教えてくれている」
この刺繍千手観音は、
龍雲寺にひと月ほど預けて、そのあと東北を巡回するそうだ。
(1本の針も供養)
(星野ファミリーと)