騙し絵の牙 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

相当久しぶりに映画館に行った。

新聞の映画評が、あまりに絶賛していたので、

これは見にいかずばなるまいと思い足を運んだ。

 

朝日新聞の映画評には、

「娯楽映画のいちばんの商品価値は面白さである。愉快、爽快、痛快の三位一体で上々の作とする。ここには娯楽映画の専門店がこぞって出店しているようなあんばいで、不景気な作品が多い日本映画にあって、大いに気を吐いている」とあった。ここまで絶賛されると、自分の目で確かめたくなる。

 

作家の塩田武士さんが、主人公に大泉洋を想定して当て書きした小説を映画化したもの。小説の当て書きは珍しい。

大手出版社、薫風社が舞台。社長の急死で、経営改革を唱える専務と伝統を盾とする常務が対立する。

主人公の速水(大泉)は廃刊寸前のカルチャー誌の新任編集長として登場する。看板雑誌「小説薫風」から新人編集者高野(松岡茉優)を引き抜き、破天荒な企画を連発する。

鼻持ちならない流行作家、20年以上消息を絶っている大作家、文学賞狙いの青年、情報通の文芸評論家、超人気ファッションモデル。

國村準、佐藤浩市、佐野史郎、リリーフランキー、小林聡美、木村佳乃…芸達者が、とても一筋縄では行かない連中を好演する。

 

大泉洋さん主演の映画を見るのは、これが三本目。

『しあわせのパン』では、ほのぼのとしたパン屋の主人役。

『晴天の霹靂』では、売れないマジシャン役。

そして、今回は辣腕編集長役。一見頼りなさそうに、優しそうに見えるが、笑顔の裏に、とんでもない「牙」を秘めている。

だが、いずれも共通しているのは「憎めない人」。

今回も、人を出し抜くことや裏切ることをするが、憎めない。

ご本人曰く、「いちばん素のボクと離れた役柄」だったそうだ。

 

役者たちの演技、ストーリー展開、どれをとっても、愉快痛快爽快の

3拍子そろった映画だったことは間違いない。