池江選手にもらい泣き | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

年を重ねると、涙腺が弱くなるというのは、本当のようだ。

鼻の奥がツンとしたかと思うと、涙が湧いてくる。

 

池江璃花子選手が泳ぎ切ったとき、プールの中でむせび泣く姿、

インタビューを受け、感極まる姿に、涙腺崩壊。

もらい泣きしたのは、ボクだけではないだろう。

 

きょうの競泳日本選手権100メートルバタフライの決勝、池江選手は「ただいま」とつぶやいて、スタート台へ向かった。
スタートでやや出遅れ、頭1つ分の差を追いかける展開となった。

それでもル50メートルのターンでは0秒03差に迫り、横並びでの接戦で迎えた最後の25メート、池江選手が一気に抜け出してリードを奪い、トップでフィニッシュした。
タイムは57秒77。電光掲示板を振り返り、3年ぶりの優勝、そして東京オリンピックのメドレーリレーの派遣標準記録を突破したタイムを確認した池江選手は、スタート台につかまったまま涙を流し、しばらくプールから上がることが出来なかった。
プールサイドで行われた優勝インタビューでは

「本当にこの種目は優勝をねらっていなかったので、何番でもここにいることに幸せを感じようと思った。つらくてもしんどくても、努力は必ず報われると感じた」と泣きながら答えた。

なかなかプールから上がってこなかったことについては、「本当に、本当にことばにできないような、表現できないような、そんなうれしい気持ちになりましたし、あの一瞬でも今までの自分のつらかったこととか、すごくいろいろ思い出した。けど、ここまで戻ってこられたことがすごくうれしくて、なかなか体もきつかったですし、上がれなかったですね」。

 

2年前の今頃は病室にいた。

無菌室での白血病の治療は「思っていた数千倍しんどい」ものだった。

「必ず戻る」という信念が、この日、実を結んだ。

「つらい、しんどい」という言葉では簡単に片づけられない闘病生活を思えば、「よかった、おめでとう」と軽い気持ちでは言えないような気持ちにもなる。

こういうときは、ことばではなく、もらい泣きで寄り添いたい。