879という重い数字 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

879。

日本政府が拉致被害者と認定しているのは17人。

これ以外に、拉致の可能性が否定出来ず、警察が捜査中の事案が

879人もいる(2019年9月6日現在)。

初めてこの数字に接し、驚きを禁じえなかった。

 

認定された拉致被害者のうち5人が帰国を果たしたのは、

2002年10月15日。あれから17年になる。

その頃は、世論の関心も高かったが、

北朝鮮との交渉に膠着状態が続き、しだいに関心が薄れ、

詳細を知らない人が増えている。

そうした現状を踏まえ、

演劇を通して拉致問題に関心を寄せてもらおうという試みがある。

それが劇団夜想会主宰の『めぐみへの誓い~奪還~』だ。

過日(8日)立川市での舞台公演を観てきた。

ご案内をいただいた半井小絵さんは「舞台で描かれていることは、ほとんどが関係者の証言に基づくことだ」という。そう想って観ると、ことばもない。

 

1977(昭和52)年11月15日、

横田めぐみさんは、新潟の海岸から忽然と姿を消した。

その前日は、父の滋さんの誕生日。めぐみさんは、「おしゃれに気をつけてね」と父に櫛をプレゼントした。

その翌日は、北朝鮮工作員に連れ去られ、真っ暗な船倉で、「お父さん、お母さん」と泣き叫びながら、壁を掻きむしり爪が剥がれる寸前で血だらけになっていたという。

42年間、めぐみさんを思わない日はない。お風呂でめぐみさんの背中を母が洗うシーンはせつない。実際に早紀江さんが夢で見た光景だそうだ。めぐみさんが帰ってきたら、大草原で大の字で寝っ転がりながら「自由だよー」と言わせてあげたいと母は思っている。父の滋さんは、86歳になり入院中。親子の対面には、一刻の猶予も許されない。滋さんは、ベテラン原田大二郎さんが演じていた。迫真の演技だが過度な誇張もなくさすがの存在感。

 

田口八重子さんは、いまだ行方不明だが、大韓航空機爆破事件に絡んだ金賢姫は、李恩恵と名乗る日本人女性から日本語を学んだと供述している。この李恩恵は、田口さんと同一人物と考えられている。

その田口さん役は、半井小絵さん。気象予報士の半井さんは、2015年から夜想会で演劇の勉強を始め、2017年に田口八重子役で舞台デビュー。以来、この役を演じることに意義を感じている。

半井さんは、「想うだけでなく行動したい。私は演じることで拉致の悲惨さをお伝えし、日本国民全員がこのままではいけない!と声をあげてくださるように、これからも自分のできることをやっていきます」と決意を語っている。ほんとうにその通りだ。

映画化の話もあるそうだ。地方での舞台公演もある。

関心を抱き、ささやかな行動のきっかけに、ぜひ観てほしい。

 

拉致問題のHP

https://www.rachi.go.jp/

映画「めぐみへの誓い」製作委員会HP

http://www.megumi-movie.net/

 

(左手が横田茂さん役の原田大二郎さん) 

(中央が田口八重子さん役の半井小絵さん)