論語知らずの論語塾44~木鶏足りえずの双葉山 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。


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論語知らずの論語塾に、新たな参加者が2人。

一人は、2年前、起業した青年社長。

会社の経営方針を五常(仁義礼智信)にしているそうだ。

子どもたちに論語を教えたくて学びにきた。

一人は、幼稚園児の母。

子どもの躾のため自分を磨きたいと学びにきた。

 

きょうも、孫が語る祖父・安岡正篤のエピソードが興味深かった。

いまも夏場所のさなかだが、祖父は、相撲が好きだった。

テレビ中継は、十両の取り組みのうちから、熱心に見ていた。

「昔のお相撲さんは、キレイだった」とよくこぼしていた。

怪我をしても、サポータや包帯をすることはなかったからだ。

 

贔屓にしていたのは、大横綱・双葉山。

互いに敬愛し、双葉山が安岡邸を訪れたこともある。

そのとき、ご近所から見物人が詰めかける騒ぎになったらしい。

 

69連勝を続けていた双葉山が、

安藝ノ海に破れて3年ぶりの黒星を喫した。

その夜、双葉山は海外にいた安岡正篤に電報を打った。

「ワレ、イマダモッケイタリエズ」と。

この一文を呼んだだけで、正篤は、双葉山が負けたことを悟った。

互いに教養人であったからこそ、わかり合えたのだ。

双葉山が語ったこのことばの出典は『荘子』。

「木鶏」は木で作った鶏のこと。

木彫りの鶏のように周りの変化を意に介せず、

超然とした境地に立つ人間の理想の状態を指す。

無心の境地に至れなかった己を戒め、

さらなる精進を誓う気迫さえ漂う一言だ。

 

双葉山が引退後、時津風部屋を開設したとき、正篤に請うて、

「力士規七則」を揮毫してもらった。

吉田松陰の「士規七則」にあやかって、正篤が作った七則で、

この言葉を、毎朝読みあげてから稽古にとりかかったそうだ。

原文を簡略化してみた。

1、万物の霊長である人間の本分を全うすべし。

2、相撲は国技だ。力士は日本精神を体現せよ。

3、切磋琢磨しながら、報恩感謝を忘るべからず。

4、光陰は過ぎ易く、人生は老い易し、ゆえに勉励すべし。

5、礼節、美徳を失うことなかれ。

6、質実合憲を旨とし、軽佻浮薄を忌む。堂々たる風格を発揮せよ。

7、健康に留意し、酒色を慎み、大成せんことを期すべし。

この七則からも、正篤の人生の処し方がよくわかる。

 

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