わかりやすさの罠 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。


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東日本大震災から、きょうで8年。

マスコミは、こぞって東北に行き、特番を組んでいる。

そして、明日になると、放送枠は格段に減る。

放送する内容は、取材側の「意図」と「都合」によるものが多い。

以前、福島に住む被災経験のある方から聞いた話がある。

「復興しているイメージで話してください」と言われ、

本意ではないが、その意図に従ったという。

それは「それでも東北を忘れてほしくないから」という思いからだ。

東北を忘れないためには、特別のこととせず、日常のこととするべきだ。いまこそ、東北に足しげく通うべきだろう。

 

マスコミの報道で気をつけなければいけないのは、「わかりやすさ」だと、わかりやすい解説で定評のある池上彰さんが指摘する。

つたえなければいけない重要な要素を「難しい」からと排除し、一般受けする「わかりやすさ」「面白さ」だけを追求する放送に落とし穴がある。木を見て森を見ないまま「わかったつもり」」になってしまうことが怖い。

ネットサーフィンにも警鐘を鳴らす。自分が心地よいと思う情報しか見ない「たこつぼ」に陥っている。一度「ニセ」を信じてしまった人々の考えを変えることは容易ではない。

池上さんは、新聞13紙に目を通している。世の中の動きを俯瞰出来る一覧性が新聞の強みだ。複数の新聞を読み比べると、自分なりの考えを導き出すヒントになる。自分の都合で選ぶ、あるいは作為的な情報閲覧のネットと違い、思いもかけない情報に出会うことがある。

読書量も半端ではない。連載も月に25本抱えている。可能な限りの情報収集をしなければ原稿も解説も出来ない。集めた情報から、池上さんの眼力で「伝えなければいけないこと」を「わかりやすく」かみ砕いて

いるのだろう。

今のように変化の激しい世の中で、時代の本質を見極め生き抜いていくためには、自分の頭で考え、判断することが大切なのだ。

スマホに操られている場合ではないのだ。便利な手段で考える時間を奪われることなく、情報を知識という力に変えていってほしいと、池上さんはいう。

そのためにも、「わかりやすい」が「わかった」で終わらないように意識しているという。説明の匙加減を工夫して、自分で考えてもらう配慮をしている。

わかったつもりのことがいかに多いか。自分はこんなことも知らなかったのかと気づいた瞬間は恥ずかしく感じても、新しいことを吸収する喜びが味わえる。

 

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