銀座でお昼ごはんを食べたくなったら、数寄屋通りにある『三亀』に行く。
戦後すぐの創業。銀座の地で70年あまり、暖簾を掲げてきたことはすごい。
和食とはこういうものと教えてくれる王道がここにはある。
味配りが行き届いている。
『三亀』というユニークな名前の由来を、ご主人に聞いたら、
「めでたいから亀にしただけ。三鶴でもよかったんだけど・・・」と煙に巻かれた。
(三亀のシンボル?)
この店を愛して訪れる経済人文化人は数多い。
中でも、先日亡くなった作家の渡辺淳一さんは、常連だった。
亡くなる半年前にも訪れ、意欲満々だったという。
あの『失楽園』にも、この店が登場している。
夜は、それなりのご接待価格だが、
昼は、比較的お手軽な値段で「高級料亭」の味が楽しめる。
(店主の南條勲夫さんと)
この店に行く、もう一つの楽しみは、
ご主人との「雑談」だ。
いまは、板場は任せ、接客に精出す。
ご主人は、座談の名手。
食事中の客にさりげなく近づき、
その客に相応しい話題を話しかけ、
頃あいを見計らって離れていく。
そのタイミングが絶妙。
食事はもとより、ご主人との会話もごちそうだ。