先週土曜日は、群馬県渋川市で開催された「しぶかわ読書会」に参加させていただきました。
ずっと行きたいと思いつつ、遠いので行くのを躊躇っていましたが、「行こうと思えば行けるんじゃね!」と、前回から参加させてもらっています。
今回のテーマは「自然」で、セレクトショップ「Cannabi」さんの庭園で、ターフを出して屋外での開催でした。
妻にはいつもより1時間早い、6時に朝食を食べてもらい、おむつ替えだけして、7時過ぎに出発しました。
家に(まだ寝てるけど)子供たちがいるし、妻の昼食とおむつ替えはヘルパーさんに来てもらうので、出ていけました。
高速を飛ばし、渋滞があったけど、なんとか10時の開始時刻に間に合いました。
テーマが自然とあって、皆の話題は幅広く、日本の自然な食材の話、腸内細菌の話、森についてなど様々でした。
僕は、最近読んで、むっちゃすごい本やんけ!と思ったベンハミン・ラバトゥッツ著「恐るべき緑」について、話しました。
この本は、主に20世紀初頭の、文字通り世界を変えた化学、数学、量子力学などの発見について、実話をもとに、科学者や数学者のエピソードについてはフィクションで補って書かれた本です。
この本の中のフリッツ・ハーバーの逸話について紹介しました。
フリッツ・ハーバーはドイツの化学者で、第一次世界大戦において、史上初の毒ガス攻撃の指揮をとった人物です。
この毒ガス攻撃では、塩素ガスの巨大な緑色の雲が、覆われた兵士を含むすべての生物を、筆舌に尽くしがたい苦しみのなかで殺したといいます。
一方、フーバーは、第一次世界大戦の少し前に、空気中の窒素を工業的に取り出す方法を発明しました。
この窒素は、現在まで、世界中で農作物の肥料として使われ、何十億の人間を飢えから救うことになりました。
エピソードの振り幅が大きすぎて、ついていけなくなりそうです。
フーバーの死後に見つかった、亡き妻にあてた手紙の中で、彼は耐えがたい罪悪感を覚えていると打ち明けていました。
それは、彼がかくも多くの人類の死に直接的、間接的に果たした役割のためではなく、空中から窒素を抽出する方法が、地球の自然の均衡を狂わし、この世界の未来が人類ではなく植物のものになるのではないかと言うことでした。
彼が恐れた、「恐るべき緑」は、彼が使った毒ガスの緑の雲ではなく、野放図に成長し、地表を覆いつくす植物のことだったというのが、とても感慨深く印象に残りました。
フーバーの死後、彼が開発したシアン化物の殺虫剤がアウシュビッツで使われることになるという話は、読書会で言いそびれました。
あと、フーバーの名前がちゃんと塩素と窒素のページで出ている「世界で一番美しい元素図鑑」について話をしました。
原子核の中の陽子の数が1つずつ変わっていくだけで、がらりと性質が変わっていく、元素はあまりにも不思議で魅力的過ぎます。
昼食後は、「Cannabi」さんのご主人に、庭園のいろんな植物の話をしていただき、とても貴重な体験でした。