岩瀬昇のエネルギーブログ 114.サウジ王室で何が起こっているのか? | 岩瀬昇のエネルギーブログ

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 明日12月4日(金)のOPEC総会を前にして、英経済誌 “The Economist” が上級者用の解説記事を掲載している。”Tensions in the Saudi royal family add to the gloom over OPEC” (Dec 3, 2015)というタイトルの記事だ。

 OPEC総会については、生産枠を減少するという結論にはならないだろう、と一般的な見方と同様だが、背景にある基本骨格に関して極めて適切な見方を紹介している。詳しくは原文を読んで戴きたいが、重要なポイントは次のとおりだ。

・予想以上に強靭なシェールオイルの実態として、掘削リグの稼働数の減少にも関わらず、””fracking”(水圧破砕)された井戸数は、5月から10月にかけて前年対比25%も増えている、という。

・また、方向転換に時間のかかる在来型の石油開発では、たとえば北海、メキシコ、ブラジルなどの沖合原油生産が、2015年は前年対比7%も増えている由。

・さらに、価格上昇につながる生産削減は、イランやイラクのみならず、非OPECロシアの協調が必要だが、協力は得られそうもない。いま実行すると、サウジが大幅に減産しなければならない。需要は安値により順調に伸びているから、もう一年くらい待ってから減産をすれば効果が出るのでは、という説も紹介している。

 それよりも興味深いのは、サウジは世界でタイと並び唯二の「不敬罪」を持つ国なので、王室をめぐる噂話はあまり聞こえて来ないのだが、この記事は、第二皇太子であるモハマッド・ビン・サルマン(サルマン国王の29歳の息子)を巡り、数千人からなる王室内に不満が溜まっている、と伝えていることだ。石油政策もイェメンへの空爆などの国防政策も、いまやこの第二皇太子の守備範囲だ。権力が集中しすぎている、というわけだ。

 OPEC総会に集まっている石油コンサルタントの中にも、この事情がサウジの石油政策に不透明性を増している、と指摘するむきがあるそうだ。

 今年1月に誕生したサルマン国王は、今年の春に驚きの人事を行い、当時のムクリン第一皇太子(異母を持つが、サルマン国王と同じ第二世代)を辞任させ、第二皇太子だったモハマド・ビン・ナィエフを昇格させた。ナィエフはサルマンと同腹の第二世代であり、モハマッド・ビン・ナィエフはその息子だ(第三世代)。さらに、第二皇太子の後任に、若き王子、モハマッド・ビン・サルマン(彼も第三世代)を任命した。そのころから、サルマン国王と母(スデイリ)を同じとする一族に権力が集中しすぎている、との不満の種はまかれていた。

 この記事の伝えたいことは、王室内の不協和音が、もしかするとサウジの石油政策を変更させる「サプライズ」をもたらすかも知れない、としていることだ。

 うーむ、ますますサウジ王家の動向から目が離せないな。

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