東京国際フォーラムCでケルト音楽ミュージカル「ダブリンの鐘つきカビ人間」を観た。劇作家後藤ひろひとの代表作の一つ。

 

これまで1996年の関西の劇団遊気社による小劇場の舞台、そしてその後の3度にわたるPARCOプロデュースの舞台(2002年、2005年,

2015年)とこれが同作5度目の上演となる。

 

大倉孝二が主役の一人カビ人間を演じた舞台(2002)と片桐仁が演じた舞台(2005)をパルコ劇場で観ていると記憶しているのだが佐藤隆太のヴァージョンは見逃している気がする。佐藤にピュアなカビ人間の役はあっているだろうなと想像するのだが。

 

***** 演劇サイト より **********

とある山中。中世のアイルランドを思わせる不思議な土地、そして音楽…。
旅行中の聡と真奈美は霧のために立ち往生し、ある老人の住む山小屋に一夜の宿を求めた。
問わず語りに老人が語る昔話に、だんだんと心を奪われていく。

むかしむかし。
この土地を不思議な病が襲ったときのこと。
病の症状は人によって違っていた。指に鳥が止まってしまう病。天使の羽が生えてしまう病…。
そんな中でも、最も不幸な病に冒されたのが、心と体が入れ替わり、心は水晶のように美しく、しかし誰も近づきたがらない醜い容姿となったカビ人間。
カビ人間は、その容姿から村人たちに疎まれ、ただ一人で鐘を撞いている。
そんなカビ人間とある日、出会ってしまったのが、思っていることの反対の言葉しか話せなくなった娘・おさえ。最初はカビ人間におびえていたおさえだが、その美しい心に触れて、徐々に彼に心を開いていく。
しかし心惹かれれば惹かれるほどに、おさえの口から出るのはカビ人間への罵倒の言葉。
やがてその言葉が、カビ人間を窮地に追い詰めていく…。

一方聡と真奈美は、老人の話に夢中になっている間に、気がつくとこの不思議な世界の中に入り込んでいた。
そして、病を治すのは伝説の剣・ポーグマホーンであることを市長から教えてもらった真奈美はしり込みする聡を引っ張って剣を探す旅に出る。
その頃、おさえの罵倒の言葉を信じ込んだ村人たちによって、追い詰められていくカビ人間。
ポーグマホーンと不思議な歌、そして鐘の音が重なった時、悲しくも美しく、残酷な奇跡が起きる…!

 

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で、今回はハコも大きくなってのミュージカルバージョン。— ミュージカルに作り変える。。これが今の日本の演劇事情を見事に反映していますよね。

 

パルコ劇場プロデュースの演劇舞台ではG2が演出を担当していたのだが、今回は2.5次元ミュージカル「ハイキュー!!」「美少女戦士セーラームーン」他ミュージカルの演出、パラリンピック開会式の演出などで大忙しの演出家木下ウォーリーが東京フォーラム仕様のグランドミュージカルに仕立て上げている。

 

タイトルについている”ダブリン”につなげて、音楽はアイリッシュ調 —カーテンコールで出てきたミュージシャンがアイルランド楽器、バウロン、フィドルなどを手にしていたので、なるほど。。と思った— になっていて中村大史が手がけている。歌詞の多くを木下と後藤がつけ、その覚えやすい楽曲が耳ごごちが良い。

 

オープニングからしばらくの状況説明(この国の状況、登場人物たちの説明など)の段階ではちょっと子供っぽいファンタジー?と思ったのだが、後半、見た目が醜く邪険に扱われているカビ人間(七五三掛龍也—Travis Japan)と心と真逆の言葉しか出てこない病にかかった少女おさえ(伊原六花—>あのバブリーダンスで一躍有名になった方とは!!!多才なんですね〜)とのもどかしい恋のやりとりの段階になると、じわじわと心がざわついてきてクライマックスではしっかりとじ〜〜〜んとなってしまった。

ちなみに七五三掛くんも良い人カビ人間がピッタリの雰囲気だった。

ーーーちなみにもう一人の主役である人間界からの青年聡役にはやはりTravis Japanの吉澤閑也が扮していた。

 

オリジナルミュージカル制作に、これからも演劇の良作戯曲が使われていくようになるのだろうな〜きっと。