下北沢から吉祥寺へ移動して、吉祥寺シアターで川村毅のTFactory —作・演出— の「ヘルマン」を観た。

 

「車輪の下」が有名なスイス人作家、平和主義者であり戦時下では反ナチス的書物として当局から危険視されていたこともあるヘルマン・ヘッセの生涯を晩年のヘッセ(麿 赤兒)の回想というスタイルで綴った作品。

 

****** 演劇サイト より *******

 

晩年のヘルマン・ヘッセ(麿 赤兒)が深夜、
ひとり自分の小説作品のフラグメント、人生の断片を想う。
意識のなかに舞う何者か(大空ゆうひ)がヘルマンに問いかけつづけ、
青年時代の自分自身(横井翔二郎)が追憶の旅へと誘う。
現れては消える、自作の登場人物たち。
人生を掛けて追い求め探し続けた、魂のほんとうの居場所は見つけられたのだろうか…

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「車輪の下」の主人公、ハンス・ギーベンラート(作家の分身でもある)が神学校で大人たちによる押しつけられた教育によりどのように心身を喪失していったか、白塗りの人形ぶりの俳優・ダンサーたちがその様を表現してく。

 

シンプルなほぼ裸舞台で、俳優たちが身体で、身振りで心の内を表現していくのだが、その小説からの断片の言葉の抽象性が想像力を刺激する。ヘルマンが晩年まで、、と言うか晩年になり殊更に人生の総括を試み追求している苦悩が夢にうなされている麿の表情から伝わってきた。

 

また、川村の舞台の常連である笠木誠が作り出す世界観が舞台を引き締めていた。