夜は渋谷へ移動してパルコ劇場で2020年初演舞台の再演、宮本亜門演出・脚本の「チョコレートドーナツ」を観た。

 

主演は初演舞台に続いて東山紀之(ヒガシ)が務めている。

 

***** 演劇サイト より *****

 

2020年世界で初めて舞台化を果たした「チョコレートドーナツ」再演決定!
画像舞台は1979年のウェスト・ハリウッド。ゲイの男性が育児放棄された障がいを持つ子供を育てたという実話に着想を得て製作された映画「チョコレートドーナツ(原題:ANY DAY NOW)」は、社会的マイノリティが直面する問題を告発しつつ、愛と自由を求める人間の本質を描いています。
 

日本でも広く支持を得たこの映画を、2020年世界で初めて、宮本亞門演出で舞台化しました。折からのコロナ禍で残念ながらわずかな上演回数となった本作品。23年10月に満を持して再演いたします。

社会の片隅で、ひととき家族になった3人。あるのは愛だけ。
しかし彼らの前には差別と偏見の壁が立ちはだかる・・・
シンガーを夢見ながら、ショーパブの口パク・ダンサーとして日銭を稼ぐルディ。出口の見えない生活の中、ルディの人生は、運命の人ポール、隣室のダウン症のある少年マルコと出逢うことで変わっていきます。ゲイのカップルであるルディとポールは、悩み、迷いつつ、手を組んで世の中に立ち向かいます。

魅惑のダンス、唄、演技で観客を虜にしたルディ役東山紀之!
ルディの運命の人ポールに岡本圭人を新たに迎え、宮本亞門の翻案・脚本・演出で待望の上演!

映画ではトニー賞受賞俳優アラン・カミングが演じたこの主人公に、舞台版では東山紀之がその卓越したダンス、唄、演技で挑み、観客を魅了しました。再演の舞台でも東山ルディが観客の心に迫ります。そしてルディと共に障がいのある少年マルコを育てようと、世間と闘う検察官ポールには、今回新キャストとして岡本圭人を迎えます。「Le Fils息子」(21)や「4000マイルズ〜旅立ちの時~」(22-23)等舞台での活躍が目覚ましい岡本が、新たなポールに挑戦します。またダウン症のある少年マルコ役は、初演同様、実際にダウン症のある青年のオーディションを実施し、トリプルキャストで丹下開登、鎗田雄大、鈴木魁人が選ばれました。そして、共演者には、新たなキャストとして山西惇ら、初演から続投する高畑淳子らと、豪華な面々が揃いました。

70年代のアメリカのヒットナンバーを散りばめた華やかなショーシーンと、緊迫の法廷ドラマを織り交ぜつつ、愛と希望、未来を求めて、苦闘する人間の姿を感動的に謳い上げるヒューマンドラマ「チョコレートドーナツ」。宮本亞門がタクトを振る傑作の再演に、どうぞご期待ください。

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初演時のレビューがこちら↓

 

 
前回の舞台の感想としてヒガシの男っぽさをあげているのだが、今回はその点がかなり改善されていたように感じた。
 
愛されキャラのルディを可愛らしく、そして彼が勤めるショーパブでのステージシーンでは華やかさをしっかりと見せつけてくれた。
 
今、何かと時の人となっているヒガシの(おそらく)最後の芝居舞台となる今作。
もちろん世間を騒がせている社長就任、表舞台からの引退、、の現況とは関係なくもっと前から上演が決まっていたのだろうが、なんとも皮肉な状況を考えさせられる舞台であったことは否めない。
 
と言うのも、内容的には障害を持つ児童への性的虐待を問うシーンがあって、自然な流れとして今の事件を思い起こさずにはいられないということ、そして同時に舞台の真ん中で輝いているこのエンターテイナー・ヒガシはどこに進んでいくのだろうという疑問がわいてくるということ。
さらに加えれば、前回は翻案・脚本として名を連ねていた谷賢一氏の名前が消滅していること—彼は性暴力の案件で裁判中である。
 
一連の記者会見騒動、そして発表された会社の方針のことはみなさんが熟知していることを前提に話をすると、ヒガシにとっても会社にとっても、今走り出した計画が本当に最良の案なのか、ということに疑問を抱いてしまった。
 
会社経営経験に乏しい彼がわざわざその役を請け負うことに意味はあるのだろうか。そして彼が長年培ってきたキャリアはどこへ消えてしまうのだろうか。
まあ、そのことはこの舞台の出来とは直接関係のないことなのでこのへんにしておくが、やっぱりしっかりと舞台を仕切るこのエンターテイナーのいるべき場所はスポットライトの中なのでは??と思ってしまった。
 
判事役の高畑淳子の好演が光った。

 

最後にサブタイトルにもなっているディランの名曲、フィナーレを飾る ”I shall Be Released” のアレンジはもうちょっとソウルフルにしてもらいたかったかも。