神奈川芸術劇場(KAAT)で森山開次演出・振り付け・演出のダンス「星の王子さま サン=テグジュペリからの手紙」を観た。

 

2020年冬に同劇場で初演された舞台の再演とのことなのだが、初演は見逃している。

 

***** 演劇サイトより******

この舞台を子どもたちのためだけではなく、
かつては子どもだった大人たちに届けたいと思う。

サン=テグジュペリの美しく心に語りかけてくる言葉を、至極の音楽とダンスにしてお届けします。
耳と目を澄まして観てください。
サン=テグジュペリの言葉がきこえてくるでしょう。

飛行士であった彼が空から鳥瞰した風景、地球と人の姿。
落ちた砂漠から見上げた、星空と心の投影。
それらの風景に至極のダンサーたちの身体を散りばめます。
子どもから大人まで魅了する物語。
それぞれの今だから感じられるメッセージがあるでしょう。

森山開次(演出・振付・出演)

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ダンス公演には珍しくKAATのホール(スタジオではなく大劇場の方)での公演だったのだが、初演の好評が伝わっているのか、多くの子供たちがつめかけ(子供がいれば当然、親御さんたちもいる)た会場は熱気に溢れていた。

 

各界のトップアーティストたち(美術:日比野克彦、衣装:ひびのこづえ、音楽:阿部海太郎、歌唱:坂本美雨、そして小尻健太、酒井はな、島地保武を含めたダンサーたち)を招集した今作、総合芸術の名にふさわしい素晴らしい作品だった。

 

その中でもかなりの比重を占めていたのが衣装、血管、もしくは細胞の網目が浮き出たような黒と白のレース状のタイツ、真っ赤な花弁が可愛らしい酒井はなのバラの精、そしてコケティッシュな魅力を発散させていた好奇心旺盛な星の王子さま役アオイヤマダの白いレースの衣装、とエレガントでありながらキャラクターを表した衣装が光っていた。

 

そんな衣装に身を包んだダンサーたちが縦横無尽(まさに上下、縦横 無尽に惑星空間を躍動していた)に踊り、表現する星の王子さまが住む世界をペーパーアートで幻想的な空間で表した日比野克彦の美術も綺麗で、真のアートは子供たちを2時間強のステージに釘付けにすることが出来るのだな、と驚いた。