十二.いったい今、何が起きようとしているの?(1) | のあのあlife

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『雲が描いた月明かり(구르미 그린 달빛)』に史上最強にどハマリしてしまい♡2017年も自分の勉強兼ねて原作小説を翻訳しつつ、パク・ボゴム君とキム・ユジョンちゃんのボユカップル、密かに熱烈に応援中です~♡(笑)
2021年4月、またこのブログ再開します☆

ラオンはヨンについて誠正閣(ソンチョンガク)へと入った。波のようにゆらゆらと揺れる松明が、誠正閣(ソンチョンガク)の庭を明るく照らしていた。庭の隅に降り注がれる白い月明かり(タルビッ)に寄り添うように、慎ましい野菊の香りがほのかに漂っていた。精巧な彫刻された石像や白みがかるように擦り減った盤石を通り過ぎて入っていくと、がらんとした居所の前を守っていた宮女(クンニョ)たちがヨンの後ろに、魚の群れのように集まって来た。照足燈(チョジョクドゥン:先が丸く、手で持って足元を照らす道具)を持ったチェ内官が最後に近づき、彼の足元を明るく照らした。階段の上に上がるなり、二人の宮女(クンニョ)が近づいてきた。宮女(クンニョ)たちは膝を曲げたまま、踏み石の上に立つヨンの履物(シンバル)を押えた。おかげでヨンは膝を曲げずして履物を脱ぐことができた。彼が板の間(テチョンマル)の上に上がるや否や、音もなく居所の扉が広く開けられた。

すぐに、ヨンの後ろについていたラオンの視界に居所の中の光景が広がった。形と式、定められた規と律に合わせられてきちんと整理された王世子(ワンセジャ)の居所には、遅い夕水刺(チョニョク スラ)が設けられていた。宴の間、きちんと食事もできていないヨンのためのものだった。ヨンが席につくと、チェ内官を始めとする宦官たちが三、四歩下がったところで長く並んだ。その横には食膳(スラサン:王の食膳)をこしらえた水刺間(スラカン:王の飲食を調理する場所)の尚宮(サングン)と女官(ナイン)たちが一列になったまま頭を下げていた。

チェ内官が頷くと、気味尚宮(キミサングン)が毒見を始めた。誠正閣(ソンチョンガク)へと入った瞬間から今まで、これらすべて一連の過程がまるで歯車の歯が重なり合うかのように、少しの行き違いすらなかった。東宮殿(トングンジョン)にいる数十人の人々が、一体になったかのような動きだった。誰一人として大きな音も立てず、騒々しい動きすらなかった。しかし、全ての動作が迅速かつ正確に処理された。ただ一人、ラオンだけが、初めて触れた見知らぬ世界に慌てていた。

ラオンは緊張したままヨンを盗み見た。部屋の中では何の音も聞こえては来なかった。気味尚宮(キミサングン)が毒見を終えるや、針の落ちた音すら聞こえる程の静寂の中で、ヨンの食事が続いた。まるで完璧に音が消された世界の真ん中にいる人のように、ヨンは音もなく食事を飲み込んでいた。

その姿を見守っていたラオンは、ふと宮殿の外での食事の時間を思い出した。例え、貧相な善だとしても、話をして笑いの途絶えることのない時間。そのたわいもないことが、どれだけ貴重なことだったのかということが、今になって分かった。大勢の人に囲まれてはいるが、孤独という重い空間の中で一人でいるヨンが、少し哀れにすら感じられた。しかし・・・・・。

しっかりして、ホン・ラオン。今こんな呑気なことを考えている場合じゃないわ。

少し、ほんの、少しだけ、ヨンの姿に心が揺れてしまったラオンは、緩めた拳をまた握りしめた。忘れていた緊張感が、また、背筋をしゃんとさせた。

『寝に行くぞ(チャロ カジャ)。』

ヨンが言った言葉が、まだ耳にぐるぐると残っている。

まさか、真面目におっしゃったわけじゃないわよね?そうよ、冗談を一度言ってみたかったに違いないわ。

努めて良い方向へと考えてみつつ、横目でちらっとヨンを見つめていたラオンは、すぐに顔を俯けてしまった。偶然よね?ちょうど、匙(スッカラク:スプーン)を下ろしたヨンとばちっと目が合ったのだ。いつもなら、何でもないそんなちょっとした偶然。しかし、今日はおかしなことに、心臓がどきどきとした。『寝よう』だなんて言葉の持つ、妙な語感のせい?誠正閣(ソンチョンガク)に入ってから、怖さを伴った緊張感で心臓がどっきんどっきんと、我慢ができなかった。ううん、心臓だけが打つならばまだいいのだけれど、おかしなことに、さっきからつま先から数十匹もの蟻が昇って来るかのようにくすぐったい感覚に、耐えられなかった。同時に、なんだか冷たい感覚が背筋を流れた。しきりに汗がにじみ出てきた。この冷や汗は、東宮殿(トングンジョン)の息の詰まるような静寂のせいかもしれなかった。今の東宮殿は、言うなれば少しも失敗の許されることのない、完璧な世界だった。そして、その完全無欠な世界の真ん中に、ヨンがいた。

ヨンが食事を終えるや、彼の前に頭を下げていた尚宮(サングン)や宮女(クンニョ)たちが潮のごとく、誠正閣(ソンチョンガク)から出て行った。普段の通り、居所の内側に寝床を用意した宦官たちまで、その後を追った。部屋の隅っこで戸惑ってたっていたラオンもやはり、他の宦官たちについて密かに部屋を出ようとした。

「ホン・ラオン。」

ヨンの低い声。その低い呼び声が足かせとなり、ラオンの足を止めた。

「はい?」

「お前はどこに行こうとしているのだ?」

そりゃぁ・・・・。

「私もお暇(いとま)しようかと・・・。」

「お前はまだ私とすることが残っている。」

「はい?することですか?」

それって何ですか?本当に一緒に寝ようなんておっしゃっているんじゃないですよね?

ラオンは泣きそうな顔になってヨンを見つめた。

 

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「ヨン 孤独 雲」の画像検索結果

常に人に囲まれた

   完璧な世界の、

      完璧な静寂の中心にいる、ヨン。

少しだけ、そんなヨンが分かったラオン。

 

だけど。

 

 

「ホン・ラオン。

 

  何処に行くつもりだ?」

「はい?」

「お前はまだ私とすることが残ってるだろ!」

へ???

  えええ????

 

まさか・・・・・

   本当に一緒に寝ようなんて、おっしゃるんじゃないですよね????

 

ね??

 

ごめんなさい~~~~~~☆

  なんか、自分で公開したつもりが、下書きになってました≧(´▽`)≦

 

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