映画のタイトルになっている同名の書籍を40年ぶりに読んでみた。

実家の物品を廃棄しているのだが、その中から出てきたのだ。

最初に読んだのは中学生の時だと思う。担任の佐野先生に勧められて読んだ。戦前の金持ちが主人公になっている点が気になっていたが、感銘を受けたことは覚えていた。しかし、内容は殆ど忘れている。デパートの屋上から雨の東京都見下ろして人々の生活を想った行だけは鮮明に覚えていて、今でも高層ビルからの風景を見ると君たちはどう生きるかを思い出す。しかし他のエピソードは忘れていた。

 

若い頃の記憶は忘れにくいはずだが、内容を実感するまでに成長していなかったのだろう。

 

読み返すと、だんだん思い出してきた。

我ながら情けなくなったのはコペルくんが浦川くんの家を訪ねたときのエピソードだろう。

おじさんは「貧しくても毅然と生きる姿勢」を説いていた。

できてない。私は全くできていない。考えてみれば恥ずかしいことばかりだ。

「課長」をやっている弟に対して毅然とした態度で望むことができない(課長という肩書だけが存在意義の弟そのものも問題であるが)誇りを持って生きているかというと、全く逆である。

今なんか更に酷い。自営業者、であればいいが、ほとんど無職である。そんな自分を恥じて、平日日中に外出することすら人の目が気になってしまう。

「誇りを持って毅然と生きる」には、最もハードルが高い存在になってしまった。そんなときだからこそ、意識して生きていきたいと思う。

 

君たちはどう生きるか、は、まだまだ続く。読み続けるのが楽しみでもあり、今の自分に照らして怖くもある。