妻が副業でやっていた編集の仕事を、正社員でやることになって一ヶ月経つ。東京の東寄りの職場のため、最初は通勤が心配だったが、なんとか通っている。一番変わったことは妻の話題が激増したことだ。セミナーやら取材やらで圧倒的にコミュニケーション量が増えたようで、毎日が変化に富んでいて面白いらしい。

私としては社会的信用の点で非常に助かっているのだが、妻がいきいきとしている姿を見せてくれるのは二重に気持ちが軽くなる。

反面、平日の日中は私の生活はだめになりつつある。妻はリモートワークも可能な職場なのだが、試用期間の3ヶ月はリモート禁止とのことで、日中は自宅にいない。

暑いのでどうしても特に午前中は惰眠を貪ってしまう。一体いくら寝れば気が済むんだろうか。こんなことをしていては本当に認知症になってしまう。するべきことは山積みなのだが。

 

妻がいる土日が楽しみでしょうがない。

最近の土日の過ごし方は、実家の片付けだ。片づけと言っても、両親の残した物の処分である。途方もない料があったのだが、妻の凄まじい集中力と働きのお陰で、なんとか底が見えてきた。妻は入院前から一人ででも実家に行って片付けを進んでやってくれていたのだ。押入れという押し入れに詰まっていた思い出の品々や意味のない高級品は青い燃えないゴミ袋に詰められていった。私なら出来ない。一品一品で手が止まってしまっていただろう。実家に行くたびに呆然とする私に見かねて妻がやってくれた。感謝しても仕切れない。

片付けのルーチンは、朝6時位に出発。現地に7時には到着し、片付けを開始。朝ご飯は食べず、ツアmの入れてくれたコーヒーと茶菓子だけで10時くらいまで働く。10時くらいに撤収し、近くのファミレス(ロイホ、サイゼ、す◯家)で朝食。この朝食が楽しみでやっている感がある。妻は朝食からビールを飲む。

この頃は、I井さんの農園で月に一回、体験農作業をやっている。芋の植え付けやら草取りやら、マルチ剥がしなどが主な作業だ。今月は熱くて特に大変だったが、終わったあととれたて野菜をもらえるのがいい。

今私はI井さんの農園のWebサイトなどを作っているので、納品の際などにも野菜をもらう。採れたての枝豆というのは最高。妻が大好きな枝豆、それも引っこ抜いてから1時間のものはたまらないらしい。

こんなささやかな幸せを積み上げていると、旅なんかしなくてもいいのかなって時々思う。

 

介護施設には週1、妻は1週おきにいっている。仕事も畑もない退屈な生活を父と母は過ごしている。母は実家に連れていけという。実家に行って、おいてあるもので必要なものがあるかもしれないからという。

すっかり空になりつつある実家を見せて、彼女は耐えられるのだろうか。